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信用スコアとは?信用スコアの仕組みやメリット、利用データについて

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※この記事は2019年3月24日に更新しました。

信用スコアとは一体なんなのだろう?
信用スコアにはどのようなメリットがあるのだろう?

このような疑問をお持ちの方も、増えてきているだろう。

そのような信用スコアが気になっている方のために、「信用スコア、これだけ見れば大丈夫!」といえるものをご提供できればと思い、本記事でまとめてみることにした。

「信用スコア」の仕組み、利用するメリット、日本におけるサービス事例、そして、中国や米国を中心とした世界各国の事例など、網羅的に分かりやすくまとめている。

以下の「目次」から気になるところを選んで、ぜひ読み進めていってほしい。

信用スコア(クレジットスコア)とは?

まず、「信用スコア(クレジットスコア)とは何か?」について、分かりやすく解説していこう。

信用スコアは、簡単にいうと、「各個人の信用度合いを、様々な個人のデータを元に、独自のアルゴリズムを用いて、スコアリングしたもの」だ。

やさしい言葉でいうと、「あなたはこれくらい信用できますね」という信用レベルをスコア化(数値化)することで、信用力を見える化した数字といえる。

信用スコアはあなたの信用度合いを測るもの
信用スコアはあなたの信用度合いを測るもの

このスコアを用いることで、どのようなことができるだろうか?

たとえば、信用スコアが高い人に対して融資の金利を低く設定してあげたり、メルカリのようなC2Cサービスにおいてお互いに信用しやすくなったり、マッチングサービスにおける1つのステータスとして用いたり、といった使い方ができる。

ここ数十年のインターネットの発達によって、お互いに顔を見ないで実施されるやりとりも増えてきている。

そのような世界において、信用スコアはこれまで以上に必要性が増してくると考えられている。

顔を知らない人との取引では、信用スコアの必要性が増してくる
顔を知らない人との取引では、信用スコアの必要性が増してくる

たとえば、「地元のコミュニティ」を考えてみよう。

地元の知り合いであれば、過去のその人とのやりとりや評判から、その人を信用してよいか判断することができる。

そのため、「Aさんは信用できる人だから、10万円くらいなら貸してあげてもいいな」とか、「Bさんになら Switch のソフトを1週間貸しても大丈夫だ」といった判断を下すことができるだろう。

しかし、それが、会ったこともなければ実名も分からないような人となれば、どうだろうか?

会ったことのない人や実名の分からない人との取引には不安が伴う。
会ったことのない人や実名の分からない人との取引には不安が伴う。

きっとあなたはその人を信用してよいかどうか判別ができないため、お金はもちろんのこと、Switchのソフトでも貸し出そうとは思わないだろう。

では、そこに「信用スコア」があったらどうだろうか?

信用スコアがあることで、取引がなめらかになるかもしれない
信用スコアがあることで、取引がなめらかになるかもしれない

信用スコアがあれば、「顔も知らない人との取引における不安」という障壁を乗り超えて、お金やSwitchを貸し出せるようになるかもしれない。

つまり、「信用スコア」があることで、世の中の様々な取引がもっと「なめらか」になるかもしれない。

信用スコアには、このような「インターネット時代における取引の円滑化」という大きなポテンシャルが秘められているというわけだ。

信用スコアが今注目されている理由

では、なぜ「今」、信用スコアがこれほどまでに注目されているのだろうか?

いくつか理由はあるが、大きく分けると以下の3つの理由があげられる。

  • 中国における信用スコアサービスの成功
  • C2Cやシェアリングサービスの台頭
  • 機械学習やAI技術の成熟

それぞれの理由について、解説していこう。

中国における信用スコアサービスの成功

隣国の中国では、アリババ系列のアントフィナンシャルの提供する「芝麻信用(ジーマクレジット)」という信用スコアが普及し、社会的に大きな影響力を持っている1

芝麻信用は様々な生活シーンで利用されている。たとえば、小口融資(マイクロレンディング)の与信判断への利用や、シェアバイクを利用する際のデポジット免除、シンガポールビザを取得する際の優遇措置など、利用用途は広範囲にわたっている。

まさに中国社会における「信用のインフラ」として機能しているというわけだ。

ビジネス的な観点で、このような「信用インフラ」を保有することは大きな価値があるため、そこを戦略的に抑えにいきたいという企業も多いことだろう。

C2Cやシェアリングサービスの台頭

近年、C2C系のサービスやシェアリング系サービスの市場規模は大幅に拡大してきている。

たとえば、日本国内でいうと、部屋のシェアリングである「Airbnb(エアービーアンドビー)」や、企業の保有するスペースのシェアリングである「スペースマーケット」、自転車のシェアリングである「ドコモ・バイクシェア」等がその一例だ。

C2C系サービスにおいては、いかに相手を信用できるようにするかが重要な要素となる
C2C系サービスにおいては、いかに相手を信用できるようにするかが重要な要素となる

このようなサービスを利用する際に、貸し手側の情報はレビューなども含め充実している場合が多いが、借り手側の情報は情報が欠けていることも少なくない。とくに、初回利用ユーザーの場合には情報はほとんどなかったりする。

そして、「情報が不十分」という理由で、貸し出しなどの取引をためらうこともあるだろう。

筆者も Airbnb で部屋を貸し出していたことがあるが、写真が不明瞭な方から宿泊の申請が来た際には、宿泊をお断りしてしまったことがある。その人は信用できる人だったかもしれないが、もし変な人で部屋を荒らされてしまわないかと、リスク面を考えてしまったからだ。

このような時に、「信用スコア」があれば、もっとサービスの利用が活性化したり、ユーザー同士お互いに納得のいく形で利用ができるようになるかもしれない。

機械学習やAI技術の成熟

「信用スコア」は、技術的な進歩にも支えられている。スコアリングのアルゴリズムを支える、機械学習やAI技術の成熟だ。

機械学習やAI技術の進歩
機械学習やAI技術の進歩

信用スコアのスコアリングロジックは、各社正確には公表をしていない。

ロジックを公表をしてしまうと、その情報を元にスコアをチート的に上げるための「信用スコアハック」をされる可能性が高まるためだ。

ZestFinance のような自動機械学習によるスコアリングアルゴリズムを提供するスタートアップが Microsoft と戦略的提携を発表する2など、スコアリングにはほとんどの場合、機械学習・AIの技術が利用されていると考えられる。

利用するデータはサービス毎で様々であるが、数千〜数万にも及ぶデータポイントを活用しスコアリングしているケース3も多いため、これはまさに技術の進歩なしには成立しえないものであった。

このように、信用スコアが注目される背景として、機械学習やAI技術の成熟という技術的な側面もある。

信用スコアの仕組み

ここまで、信用スコアについての概要と、信用スコアがなぜ今注目されているのかについて、解説をしてきた。

つづいて、信用スコアの仕組みについて解説していこう。

信用スコアの仕組みは、3つのフェーズに分けて考えると、分かりやすい。以下の3つのフェーズだ。

  • スコアリングに必要なデータを収集する
  • 独自のアルゴリズムでスコアリング
  • スコアを活用する

各フェーズについて、解説をしていこう。

スコアリングに必要なデータを収集する

第一に、スコアリングに必要なデータを収集するフェーズだ。

ここでは、自社で保有しているデータの他、データを保有している外部パートナーや既存の信用機関との連携により、信用度合いの判断に寄与するようなデータを、できるだけ多く集めることが肝になる。

もちろん、扱うデータは個人情報となるため、もちろん生活者の許諾のもとで収集されるべきものである。

独自のアルゴリズムでスコアリング

次に、集めたデータを元に、独自のアルゴリズムによってスコアリングを行うフェーズだ。

それぞれのデータが信用度合いを決める上でどの程度の影響があるのかといったことを分析し、スコアリングに活かしていく。

中国の芝麻信用の例をみると、集めたデータを元に、まずは既存の金融機関が貸出を行う際に用いていた信用スコアを正解データとして、どのようなデータが信用スコアリングに寄与するのかを分析していったという。

さらに、サービスの提供を開始したあとには、データが蓄積されればされるほど、アルゴリズムの精度を磨いていくことができる。

スコアを活用する

さいごに、算出した信用スコアを、様々なサービスで活用するフェーズだ。

信用スコアの活用先には、さまざまな可能性がある。

信用スコアの活用先には、個人融資の与信審査と生活シーンへの利用がある
信用スコアの活用先には、個人融資の与信審査と生活シーンへの利用がある

現段階では、個人向けの融資における金利や上限金額の設定に利用する企業が多いが、今後、シェアリングサービスへの活用など、様々な生活シーンでの利用も増えてくるだろう。

信用スコアを提供する企業としては、自社のスコアリングをパートナー企業へ提供した上で、そのスコアを利用したサービスから利用ログデータのフィードバックを受けることが望ましい。

そうすることで、利用データを用いて自社の信用スコアの精度をさらに上げていくことができるからだ。

そのような信用スコアの提供とフィードバックのサイクルが回ってくることで、「信用スコアのエコシステム」を築いていくことができ、その他の信用スコアとの競争優位性にもつながってくる。

信用スコアを生活者が利用するメリット

では、生活者目線でみた場合に、信用スコアを利用するメリットはどこにあるのだろうか?

メリットとしては、以下の2点があげられる。

  • 低金利で融資を受けられる可能性がある
  • サービス利便性が向上する可能性がある

それぞれについて、解説をしていこう。

低金利で融資を受けられる可能性がある

まずは、低金利で融資をうけることができる可能性があるという点だ。

お金を借りようと思った際に、一般的に思いつくのは、アコムやプロミスといった消費者金融系サービスや、バンクイックといった銀行系カードローンだろう。

これらのサービスの金利は、100万円以下の借り入れの場合には、7%〜18%ほどとなっている。その範囲内で、借り手の過去の借り入れ実績や、職業、収入情報などをもとに、実際の金利が決定される。

これに対して、信用スコアをもとにした融資では、携帯電話の支払い実績や趣味嗜好、友人とのつながりといった今までの与信審査では利用されていなかったデータをもとに、あなたの信用度合いや将来性をスコアリングして金利を判断してくれる。

そうすることで、人によっては、おトクに低金利で借り入れをできる可能性があるというわけだ。

J.Score の「AIスコア・レンディング」
J.Score の「AIスコア・レンディング」

実際に、私も「J.Score」という信用スコアサービスを試してみた。すると、金利10%以下での借り入れができるという表示がされた。

同様の条件で消費者金融の審査を通していないため、厳密な比較はできないが、ある程度の低金利融資が受けられる可能性はありそうだ。

日本以外の国に目を向けると、そもそも銀行口座を持っていなかったり、クレジットカードを持っていなかったりという理由で、既存のシステムでは信用度合いを測ることができない人(underbanked や unbanked と呼ばれる)も多くいる。

インドのシュブローンは underbanked or unbanked 向けの信用スコアを提供する
インドのシュブローンは underbanked or unbanked 向けの信用スコアを提供する

そのような銀行やクレジットカードを持たない人の数は、米国だけでも5,000万人を超え、世界では30億人に及んでいる。世界の全人口の40%近くが該当するという状況だ。

そのような人々は、「信用情報を測ることができない」=「ローンを利用できない」となってしまう。

そこで、信用スコアという新たな指標を元に与信審査を行うことで借り入れを可能にするということは、社会全体にとって大きな価値があるという見方もできる。

サービス利便性が向上する可能性がある

もう1つの信用スコアを利用するメリットとしては、サービスをより便利に利用できる可能性があるという点があげられる。

前述のとおり、中国の芝麻信用では、信用スコアが一定の水準以上になると、ライドシェアやレンタカーといったサービスをする際のデポジットが不要になり、あと払いでスムーズに利用することができる。

こちらに関しては、「【図解】芝麻信用によるUX革命とインターネットの本質を突く信用スコアの可能性 - dataway」という記事に、「ユーザー体験の観点でどのように便利になるのか」をまとめているので、ぜひ参考にして頂きたい。

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また、日本でも、メルカリの子会社であるメルペイが、「メルペイあと払い」というサービスを発表した。こちらも、裏側の仕組みとしては独自の「信用スコア」を算出しており、それに応じて「あと払い」の権利を付与している。

このように、信用スコアにより、サービス利用における利便性が向上するといったメリットもある。

信用スコアの事業者目線でのメリット

一方で、信用スコアを導入することによる、事業者にとってのメリットにはどのようなものがあるだろうか?

実は、サービス事業者が信用スコアを自社サービスに導入すると、利用者による不正行為が減少するという実績がでている。この仕組み、お分かりだろうか?

信用スコアの導入により不正行為が減少する
信用スコアの導入により不正行為が減少する

信用スコアの導入による不正行為の減少は、よくできたインセンティブ設計になっている。

たとえば、以下のケースを考えてみよう。

ある「サービスA」を利用した際に不正行為をすると、それが信用スコアに反映され(この場合、不正行為なのでスコアは下落)、次に他の「サービスB」を利用しようとした際に、信用スコアが低いため利用が制限されてしまう。

このようなケースにおいて、利用者は、「自らの信用スコアが下落すると他のサービスを利用する際に不便になってしまう」というふうに考えるだろう。

そうすると、利用者は、どのサービスを利用する際にも、信用スコアを下げないようにと、「良心的なマナーを守った行動」を心がけるようになる、というわけだ。

実績として、中国のレンタカー市場において、信用スコア(芝麻信用)の導入により、以下のような大幅な改善が起きたという。

信用スコアの導入による、レンタカー市場の数字変化
信用スコアの導入による、レンタカー市場の数字変化

これだけのインパクトがあるとは、正直、おどろきである。

信用スコアが機能すると、その社会的意義は大きなものであるといえるだろう。

そして、サービス事業者にとっては、不正行為の減少により運営コストを大幅に下げることができるほか、サービス利用者のマナーが向上することでリピート率が高まるといった効果も期待できるかもしれない。

利用データとその重み付けは?

では、信用スコアのスコアリングには、どのようなデータが利用されているのだろうか?

これは、各信用スコア会社におけるコアなポイントであり、「それぞれで異なる」というのが答えだ。

ただ、一般的に考えるならば、今世界で最も利用されている信用スコアということで、アリババ系列のアントフィナンシャルが提供する「芝麻信用」の例をみてみると分かりやすい。

芝麻信用における利用データについては、以下の記事を参考にしていただきたい。

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日本の信用スコアサービス

日本においては、2019年3月時点で12社が信用スコアサービス提供の意思を示している。

以下の記事では、日本の12の信用スコアサービスについて、基本情報と詳細記事へのリンク、さらに信用スコアの活用方法による分類マッピングをしている。

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また、「日本において信用スコアが普及するのか?」という論点については、有識者の発言や統計を踏まえて、以下の記事にまとめているのでぜひご覧いただきたい。

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日本では、情報銀行という個人情報の管理を行う認定制度が2019年より動き始めており、この情報銀行と信用スコアは並べて説明されることも多い。情報銀行と信用スコアの関係性については、以下の記事をご覧いただきたい。

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信用スコアに関する個別の企業やサービスについて知りたい方は、以下のリンクからどうぞ。

中国の信用スコアサービス

信用スコアの領域で世界の最先端をいくのは、中国かもしれない。

筆頭は、アリババ系列のアントフィナンシャルによる「芝麻信用(ジーマクレジット)」という信用スコアだ。

しかし、中国では、実は中国人民銀行(中国の中央銀行)から信用スコア算出の許可を得ている企業が実は8社もある。

アントフィナンシャルの芝麻信用はそのうちの1つであり、他には、WeChat を提供するテンセント、電子決済プラットフォーマーの Lakala、平安保険グループの子会社「前海征信」、老舗の信用情報機関である「中誠信国際」と「鵬元征信」、新興の信用機関である「華道征信」と「中智誠征信」があり、合計で8社となる。

このうち、実運用されている信用スコアでいうと、芝麻信用が圧倒的なシェアを持っている。また、注目どころとしては、テンセントが2019年1月時点で4都市での運用を開始しており2019年中には全国へ展開をしていく予定だ。

JD.com による信用スコアサービス「小白信用」
JD.com による信用スコアサービス「小白信用」

さらに、中国人民銀行によるライセンスを得ていない企業でも、独自の信用スコアをリリースしている例も出てきている。たとえば、中国でアリババのタオバオに次ぐEC第二位の「JD.com」は「小白信用」という自社の信用スコアサービスを提供している。

このように、中国は信用スコア先進国となっており、日本も中国から学ぶ部分は多いだろう。

芝麻信用とテンセントの信用スコアについては、それぞれ個別の記事にまとめているのでそちらをご確認いただきたい。

アントフィナンシャル「芝麻信用」

アリババ系列のアントフィナンシャル「芝麻信用」については、以下の2つの記事にまとめている。

特に1つ目の記事では、信用スコアがどのようなデータによって算出されているのか記述しているので、参考になるだろう。

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芝麻信用について、書籍「アントフィナンシャル――1匹のアリがつくる新金融エコシステム」にも詳しく記載があるので、興味のある方にはおすすめだ。

アントフィナンシャル――1匹のアリがつくる新金融エコシステム

アントフィナンシャル――1匹のアリがつくる新金融エコシステム

テンセント(Tencent)「微信支付分」

テンセントは、2019年1月9日の「WeChat Open Class PRO」にて、「微信支付分」という信用スコアを発表している。

「微信支付分」についての詳細は以下の記事をご確認いただきたい。

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米国(アメリカ)の信用スコア事情

米国(アメリカ)では、2000年以前から、FICOという算出ロジックにより、国民の信用スコアが算出されている。

正確には、FICOのロジックを元に、Experian(エクスペリアン)、TransUnion(トランスユニオン)、Equifax(エキファックス)の三大信用調査機関が個人のデータを収集し、算出を行っている。

近年、VantageScore という三大信用調査機関による新たなロジックも出てきている。

しかし、いまだにFICO のロジックによる算出が9割以上のシェアを占めている状況だ。

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この状況に対して、米国では大きく分けると3つの動きがある。

  • 新たな信用スコアの算出
  • 既存の信用スコアのモニタリング
  • 信用スコア以外によるレンディング

の3つの動きだ。

それぞれ簡単に解説していこう。

新たな信用スコアの算出

代表的な企業としては、earnest(アーネスト)というスタートアップがこの流れに該当する。

日本の信用スコアと同様で、既存の信用調査機関が利用していない様々なデータポイントを利用することで、独自の信用スコアを提供している。

www.earnest.com

また、FICO社は、ExperianとFinicityとパートナーシップを組み、「UltraFICO」という新たな信用スコアを2019年にリリース予定だ。

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既存の信用スコアのモニタリング

モニタリングサービスは、米国で特に伸びている分野だ。

FICOという圧倒的な影響力を持つ信用スコア(クレジットスコア)があるのだから、その既存の信用スコアを簡単にモニタリングできるようにしようというサービスだ。

さらに、モニタリングに加え、信用スコアの改善アドバイスもしてくれるため、重宝されるサービスとなっている。

具体的には、「CreditKarma(クレジットカルマ)」というサービスがシェアNo.1となっている。

CreditKarma では、TransUnion と Equifax から VantageScore の信用スコアを取得している。

そして、その信用スコアのモニタリングやそれを元にした改善アドバイスを提供している。

FICOのスコアではなくVantageScore のスコアとなっているのは、技術的な問題からで、両者には相関性が見られるため、この形に落ち着いている。

クレジットスコア以外によるレンディング

また、信用スコア(クレジットスコア)以外の手法によるレンディングも盛んだ。

たとえば、Lending Club(レンディングクラブ)というP2Pレンディングのサービスであったり、SoFi という将来的に高収入が期待できる学生への学生ローンといったサービスだ。

これらも、FICOの信用スコアでは融資を受けられない、あるいは高金利になってしまう層をターゲットにした個人融資サービスである。

欧州(ヨーロッパ)の信用スコアサービス

さて、欧州(ヨーロッパ)でも、信用スコア関連で有望なスタートアップが出てきている。

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たとえば、英国(イギリス)では、「Aire」というスタートアップが、独自の信用スコアサービスを展開している。

オンラインインタビュー形式で、財務状況、ライフスタイル、専門性のデータを取得し、各ユーザーの将来性を予測することで、今まで融資を受けられなかった人にも、融資のチャンスを提供している。

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また、ドイツの「Kreditech(クレディテック)」も信用スコアによるレンディングで注目のスタートアップだ。

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2012年創業にして、これまでに$497M(約547億円)の資金を調達している急成長企業だ。日本からは、楽天も投資をしている。

Kreditech は、独自の信用スコアとレンディングを展開するほか、LaaS(Lending-as-a-Service)という形で、EC事業者向けに「分割払い」や「あと払い」のサービスを提供している。

Kreditech の詳細についてはこちら。

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その他の世界諸国における信用スコア

その他の国でも、世界各地で信用スコア系のサービスは出てきている。

特にインドでは、その傾向が顕著だ。

インドでは、シンプルな信用スコアと個人融資のサービスとして「CreditVidya(クレジットヴィディヤ)」や「SHUBH LOANS(シュブローン)」、信用スコアリングにより「あと払い」を可能にするサービスとして「ZestMoney」等が出てきている。

また、南アフリカ発の「Jumo」も注目だ。

Jumoでは、「銀行口座は保有していないが携帯電話は保有している」という人が多いことに着目し、通信キャリアの保有する膨大な決済データを元にした信用スコアを算出している。

JUMOの世界展開は着実に進んでいる
JUMOの世界展開は着実に進んでいる

同社はこれまでに$91.7M(約100億円)を調達し、現在ではイギリスオフィスやシンガポールオフィスも立ち上げている。今後さらに世界展開を加速させていく見込みだ。

さらに、米国の Cignifi は、途上国向けに信用スコアと個人融資のサービスを展開している。

深夜に電話をする人や、長電話をする人はデフォルト率が高いといった独自のアルゴリズムを組んでおり、その地域に合わせたユニークなサービスといえる。

信用スコア関連サービスの台頭

ここまで、世界各国の様々な信用スコアサービスについて紹介してきた。

信用スコアのサービスが盛り上がるのと並行して、その関連サービスにも注目が集まっている。

いくつかある中から、

  • 信用スコアのモニタリングサービス
  • スコアリングモデルの SaaS 提供

の2点について解説していこう。

信用スコアのモニタリングサービス

ある程度、既存の信用スコアの影響力がある地域では、信用スコアのモニタリングサービスが出てきている。

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前述の米国「CreditKarma(クレジットカルマ)」はそのうちの1つだ。

米国では他にも、「CreditSesame(クレジットセサミ)」、「turbo(ターボ)」、「Upgrade(アップグレード)」といったスタートアップが信用スコアのモニタリングサービスを提供しており、いずれも大型の資金調達をしている。

この流れは、カナダやイギリスでも同様だ。

カナダでは「Mogo(モーゴ)」、イギリスでは「ClearScore(クリアスコア)」というサービスがそれぞれ大きく成長を遂げている。

これらのサービスは、既存の信用スコアが大きな影響力を持っている国においては有効だ。

ただ、日本においては、信用情報機関は存在するが彼ら自身がスコアリングを行っているわけではないため、この領域のサービスは発達しない可能性が高い。

どのようなデータが蓄積されているのかの参照サービスだけであれば、今後出てくる可能性はあるが、今のところその動きもなさそうだ。

スコアリングモデルの SaaS 提供

信用スコアのスコアリングモデル自体を SaaS として提供するスタートアップも出てきている。

"ZestFinance の ZAML"
ZestFinance の ZAML

米国の「ZestFinance」がその一例であり、再注目の企業だ。

同社は、「ZAML(Zest Automated Machine Learning)」という、ZestFinance による自動機械学習の信用スコアリングモデルを、自社で信用スコアを作成したい企業向けに提供している。

ZestFinance の詳細についてはこちらをご確認いただきたい。

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ZestFinanceのようなスコアリングモデルを提供する企業が出現することにより、独自の信用スコアを作成するハードルは下がる。

そのため、今後、様々な企業による「バーティカルな信用スコア」が生まれてくるかもしれない。

実際に、中国のバイクシェアサービス「ofo」では、これまで「芝麻信用」を利用していたが、2018年夏からは、自社開発の信用スコアシステムに移行している4

自社によるスコアリングのほうが、今まで以上にサービスにフィットしたスコアリングを提供できるためだという。

今後の動向にも注目していきたい領域だ。

ブロックチェーンによるボーダレスなスコア

ブロックチェーン技術を用いてボーダレスな信用スコアを作ろうという企業も出てきている。

Bloom」や「COLENDI」といった企業だ。

彼らの解決しようとしている課題の1つは、たとえ1つの国の中で信用スコアが算出されても、他国へ行った途端に「unscored(スコアのない)」状態になってしまうという不便さだ。

これらを解決するために、ブロックチェーンを活用して国にとらわれないグローバル単位での信用スコアを構築しようとしている。

それぞれ、まだこれからというフェーズではあるが、新技術を用いた面白い取り組みである。Bloom、COLENDI共に別途記事にまとめているので、興味のある方は以下の記事をご覧いただきたい。

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信用スコアへの不安の声

「信用スコア」というと、様々な不安の声も実際にある。

自分のデータが知らない間に使われてしまわないかという「プライバシーへの懸念」や、すべての行動が監視されるような「監視社会への懸念」を抱く方もいるだろう。

また、社会的な観点で、人種差別などの「差別につながる危険性」も指摘されている。

それぞれについて、解説していこう。

プライバシーへの懸念

プライバシーの問題については、たしかに怖さもあるところだ。

ただ、基本的に新たな信用スコアサービスにおいては、ユーザーの許諾がない限りデータは利用しないという方針をとっている。

また、事業社目線でいうと、明示的な許諾をとらずに第三者への提供を行った際の炎上リスクは非常に大きいため、そのようなリスクはとらずに、明示的で分かりやすい許諾の方法をとることであろう。

そのため、少なくとも「データが勝手に利用される」ということはない。

監視社会への懸念

中国では、芝麻信用が浸透したことで、各サービスで不正行為を行うユーザーが大幅に減少しているという。

これは、一種の監視社会的な効果であり、これがエスカレートすると「生きにくい世界」になってしまうのではないかという懸念はたしかにある。

この問題においては、今のところ日本では問題なさそうではあるが、もしその可能性が出てきた場合には、国としての何らかの規制等が必要になってくるところかもしれない。

差別につながる危険性

たとえば、米国では、雇用や住宅ローンにおいて差別的な扱いをすることが禁じられている。

しかし、信用スコアによってこれらの判断をした場合に、人種差別のようなバイアスが入っていないことを保証できるだろうか?

もし、そのようなバイアスが入ってしまう可能性があるとるれば、それは法的にも倫理的にも直ちに修正すべきである。

このような信用スコアに差別的な要素を含まないようにすることは、信用スコア事業者としては必要となってくるだろう。

対策例として、米国では、信用スコアリングアルゴリズムを提供する ZestFinance が「ZAML Fair」という公平性を実現するアルゴリズムをリリースしている。

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信用スコア関連のおすすめドラマ・書籍

さて、最後に、信用スコア及び信用スコアの浸透した世界についてのおすすめなドラマや書籍を紹介していこう。

Nosedive(ランク社会)
Nosedive(ランク社会)

ドラマとしては、Netflix オリジナルの「ブラックミラー」シリーズから「Nosedive(邦題:ランク社会)」という作品。

各人の信用スコアがARで常に表示されており、お互いにスマホを通して評価を行えるようなになった社会を描いた作品だ。

次に、小説としては、ジョージ・オーウェル氏の「1984年」星新一さんの「声の網」をおすすめしたい。

それぞれ、監視社会に通ずる世界を描いた名作SFとなっている。

一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)

一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)

声の網 (角川文庫)

声の網 (角川文庫)

各作品について、以下の記事でもう少し詳細に解説をしているので気になる形はご確認いただきたい。

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また、信用スコアのお手本であるアントフィナンシャルの「芝麻信用」について学ぶ上で、以下の書籍は必読だ。

ちょっとお値段は高いけれど、信用スコアについて考える上ではぜひ読んでおきたい書籍だ。

アントフィナンシャル――1匹のアリがつくる新金融エコシステム

アントフィナンシャル――1匹のアリがつくる新金融エコシステム

まとめ

本記事では、信用スコアについて、「これだけ見れば大丈夫」と言えるように網羅的に解説をしてきた。

その結果、2万字を超える長文となってしまったのをお許しいただきたい。

日本の信用スコアについては、これから様々なニュースが出てくることだろう。

新たな情報が入り次第、こちらの記事もアップデートしていくことで、「信用スコア、これだけ見れば大丈夫」という状態を保っていきたい。

最後までお読みいただきありがとうございました。

こんな情報についてもっと読みたいというニーズがありましたら、ツイッターのメンションあるいはDMにてお気軽にご連絡ください。

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