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完全キャッシュレス店舗のメリット・デメリット、人件費削減分は決済手数料で相殺?

 

昨日更新した「完全キャッシュレス店舗の国内事例」に続いて、本日は、完全キャッシュレス店舗のメリット・デメリットについて整理していこう。

生産性の向上などキャッシュレス化によるメリットもあれば、一方で、決済手数料の増加などデメリットもあるという。

以下では、そのような「完全キャッシュレス店舗」のメリットとデメリットについてそれぞれ解説していく。

事例が気になる方はこちらの記事からどうぞ。

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完全キャッシュレス店舗のメリット

まず、完全キャッスレス店舗のメリットについてみていこう。大きく分けると5点考えられる。

レジ待ちの時間短縮

1つ目は、「レジ待ちの時間短縮」だ。これは一番分かりやすいメリットだろう。

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シンプルに現金よりもキャッシュレス決済のほうがお支払いがスムーズであるし、ここに上島珈琲が「O:der」アプリで実現しているような「事前注文」を組み合わせると、その効果は倍増する。

レジの混雑による注文機会損失がなくなる

2つ目は、「レジの混雑による注文機会損失がなくなる」ということ。

たとえば、街中を歩いていてコーヒーでも買おうかなと思った時に、「あ、いっぱい並んでるしやめとくか」と思ったりしたことはないだろうか?

これは注文の機会損失であり、潜在的な売上機会ともいえる。

スタッフの工数削減(人件費削減)

3つ目は、「スタッフの工数削減(人件費削減)」だ。

言い換えれば、「現金を管理しなくてもよい」ともいえる。

飲食店で働いたことがある人なら分かると思うが、現金を扱っていると様々な工数がかかる。

レジ締めしかり、売上金の回収しかりだ。レジ締めでの現金勘定ではその日の売上金と手元の現金が一致するかどうか確認する必要があるが、合わないことも日常茶飯事で非常に大変な作業である。

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また、現金を利用している場合には、入金や釣り均の準備でATMまでわざわざ行かなければならず、毎日工数がかかっている。

完全キャッシュレス店舗であれば、このような作業を削減できるため、スタッフの工数削減、人件費の削減につながるというわけだ。

さらに、工数削減とともに、ストレスの削減という効果もあるかもしれない。

衛生面での不安が少なくなる

4つ目は、「衛生面での不安が少なくなる」ということ。

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現金の衛生面について考えたことがあるだろうか?数十年の間、様々な人の手に触れてきた紙幣や貨幣は、衛生面で決して安心だとはいえないだろう。

その点、キャッシュレス決済であれば、決済手段にもよるが、衛生面での不安はすくなくなる。

特に、事前決済式であれば、カードキーやQRコードの読み取り機器にすら触れる必要がなくなるため、より安心だといえるだろう。

教育コストの削減

5つ目は、「教育コストの削減」だ。

前述のスタッフ工数削減にも絡むところだが、現金があることで発生する作業における教育コストはそれなりのものになる。OJTでやっているところが多いと思うが、その場合にも教育期間が短縮できるというメリットがある。

ちなみに、「完全キャッシュレス店舗」化しているプロントの店舗では、新人教育コストが従来の1ヶ月から20日間に短縮できた1という。これは大きな効果だろう。

リアルタイムデータ連携によるサービス改善

最後に6点目は、「リアルタイムデータ連携によるサービス改善」だ。

ここは、様々な可能性が眠っている場所だろう。

シンプルなものでは、今まで1日に1回〜数回程度であった商品在庫の連携がリアルタイム化することで、在庫ロスや売り切りによる機会損失を最小限にするといったことが考えられる。

完全キャッシュレス店舗のデメリット

反対に、完全キャッシュレス化することによるデメリットは何があるだろうか?

決済手数料の増加

第一にああるのが、「決済手数料の増加」だ。

決済手数料は安くなってきているとはいえ、クレジットカードや交通系ICカードの決済手数料は3〜5%ほどが相場となっており、収益への影響は非常に大きい。

プロントの完全キャッシュレス店舗では、人件費の削減分は決済手数料の増加分で相殺されてしまったという。今まで20%だったキャッシュレス決済比率が100%になったことで、決済手数料は5倍に。たしかにそれは大きな負担だ。

しかし、直近出てきているQRコード決済では、LINE PayやPayPayが3年間決済手数料無料、メルペイは決済手数料1.5%を打ち出すなど、クレジットカードに比べて安価になってきている。

もっと決済手数料が普及していくためには、クレジットカードや交通系ICカードの決済手数料についても下がっていくことが望ましい。とはいえ、構造上これ以上下げることが難しいのも事実。

決済手数料は今後解決していかなければならない本質的な課題といえよう。

キャッシュレス決済手段を持たない層の機会損失

また、キャッシュレス決済の手段を持たない層への配慮も必要となる。

たとえば、楽天イーグルスでは、球場に来た中学生以下のお子様に、無料で「Edyカード」を配布している。

楽天イーグルスはお子様向けに無料でEdyカードを配布
楽天イーグルスはお子様向けに無料でEdyカードを配布

さらに、修学旅行生には、500円チャージ付きのEdyカードを配布するという。

また、球場内には、5箇所のキャッシュレス決済用の有人ヘルプデスクを設置するなど、制度面でキャッシュレス決済が初めてという方にもストレスなく利用できるようなサポートをしている。

万人が利用する場所であればあるほど、このようなサポートは必要となってくるだろう。

まとめ

本記事では、「完全キャッスレス店舗」によるメリットとデメリットについて解説をしてきた。

まだ実験的な店舗が多いが、まず一店舗そのような形態にしてみることで、様々な知見がたまってきそうだ。

プロントでは、2020年までに完全キャッスレス店舗を30店舗まで拡大するという野心的な計画もあるので、今後が楽しみだ。

店舗側のコストが上がれば、商品の値段が上がり、最終的には生活者の負担となる。そして、そのまた逆も然り。

デメリット面への配慮をしつつも、店舗にとっても生活者にとってもメリットは大きいので今後この流れが進んでくると嬉しい。

↓「完全キャッシュレス店舗」の国内事例をまとめているので気になる方はどうぞ。 www.dappsway.com

P.S 渋谷のカフェ factory の元オーナー @noriprince さんのご意見も参考にさせて頂きました。