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「QR決済」から「信用スコア」へ、大手からベンチャーまで各社の覇権争い

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QRコード決済を中心にキャッシュレス決済が大きな盛り上がりを見せている。

PayPay や LINE Pay の大規模なプロモーションの甲斐もあり、一挙にその名を広げたQRコード決済。2019年の流行語大賞の最有力候補だ。

そして、そんな華やかなQRコード決済合戦の裏で、「別の戦い」が始まろうとしている

それが「信用スコア」における戦いである。

各社、QRコード決済によって得た膨大な決済データを元に、金融領域における収益化を狙っているわけだ。

以降では、QRコード決済各社とそれぞれの信用スコア関連の動きについて整理していこう。

QRコード決済のシェアは?

まず、QRコード決済各社のシェアを確認してみよう。

以下のグラフは、2018年12月時点のICT総研のアンケート結果から作成したものだ。

これは、正確な流通量シェアは公表されていないため、アンケートによる利用動向を示したものになる。

よく利用するスマホQRコード決済サービス(2018年12月 ICT総研調べ, n=279)
よく利用するスマホQRコード決済サービス(2018年12月 ICT総研調べ, n=279)

「100億円キャンペーン」による影響か、リリースからまだ浅い PayPay が第2位につけているのが印象的である。

その他は、楽天ペイがキャンペーンでは目立っていないものの堂々の一位に輝き、それを LINE Pay、NTTドコモの d払い、Origami Pay が追う形となっている。

さて、これらの企業、信用スコアの領域ではどのような動きをしているのだろうか?

QR決済企業各社の信用スコアの動き

先程の「よく利用するスマホQRコード決済サービス」の上位順に、各社の信用スコア領域における動きを整理してみた。

メルペイについては、ICT総研の調査時には未リリースであったが、今後シェアが拡大すると思われるため、一番下に追加している。

QR決済サービス、運営企業、信用スコアサービスを整理
QR決済サービス、運営企業、信用スコアサービスを整理

パッと見て分かる通り、各社、すでに信用スコア領域に向けて動き出している

唯一例外的なのが「楽天ペイ」を運営する楽天である。しかし、同社は楽天カードや楽天銀行などにおいて与信業務を行っており、すでに信用スコアリングに近いものを行っているともいえる。

メルペイの「参入を示唆」に関しては、メルペイ代表取締役の青柳氏やメルペイCTOの曾川氏の発言から、メルカリやメルペイのデータを活用した信用スコアリングに取り組んでいることまでは判明しており、今後サービス化していくと考えられるという意味合いだ。

スコアリングを行い、さまざまなアプリケーションを生み出す基盤として活用していきたいと考えています。

「Mercari X」もお披露目。メルペイCTOが描く、信用と価値交換「Mercari Tech Conf 2018」レポ - mercan(メルカン)

実際に、先日リリースされた「メルペイあと払い」は、裏側で信用スコアリングをしていると見ることもできる。

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Origami については、19年3月に与信スコアリングを含めた金融事業の立ち上げメンバーの募集を開始しており、今後参入が予想されている。

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このように、QRコード決済の代表的なプレーヤーのほぼ全てが、信用スコアリング領域への参入を公表あるいは示唆しているという状況になっているというわけだ。

決済の争いと信用スコアの争いはリンクする

1ユーザーとして、信用スコアを上げるためには、様々なデータを信用スコアサービスに対して提供していく必要がある。

そのデータには、もちろん決済データも含まれており、主要なデータの1つとなっている。

このことから、決済と信用スコアの争いはお互いに関連し合うことになる。

隣国の中国の例をみてみよう。

中国では、QRコード決済においては、アリババ系列の「アリペイ」とテンセントの「WeChat Pay」が二大巨塔としてシェアを争っている。

一方で、信用スコアにおいては、アリババ系列の「芝麻信用」が2015年のリリース以来大きくユーザー数を伸ばし、テンセントの「微信支付分(WeChat Pay Points)」は2019年1月時点でまだ4都市における運用となっている。

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そうした中で、「芝麻信用のスコアを上げたいから WeChat Payではなくアリペイを使う」という消費行動も現れている。

つまり、「信用スコア」ドリブンで「決済サービス」が選択されるという状況が出てきているのである。

データが蓄積されればされるほど信用スコアの信頼性は上がる。信用スコアの信頼性が上がれば上がるほど、そのスコアを上げるために同系列の決済サービスを使うようになる。

この正のループに入ることができれば、そのQR決済サービス及び信用スコアサービスは非常に優位な立場になることができる。

ただ、このような優位なポジションを築くには、大きな初期投資が必要となる。

そう考えると、PayPay や LINE Pay の大型キャッシュバックキャンペーンの狙いの1つには、この正のループをいかに築くかという点にもあったとみてもよいかもしれない。

もちろん、QRコード決済サービス自身においてもネットワーク効果はある。

しかし、そこに信用スコアへの発展性を組み合わせて考えると、そのネットワーク効果はさらに大きくなり、初期投資の重要性もさらに高まるといえる。

各社の先を見据えた戦略がうごめいているようで、今後の動きにもさらに注目だ。

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