dataway

パーソナルデータ利活用の未来を考えるメディア

DeFi Meetup #2 DeFi(分散型金融)の信用担保のあるべき姿とは?

DeFi Meetup #2 の様子

昨日、ブロックチェーンの聖地こと HashHub にて DeFi Meetup #2 に参加してきた。

テーマは「DeFi Lending」。20人弱の参加者が弧を描くようにして座り、全員参加型で進めていくスタイルであったため、議論が活性化し非常に面白かった。

終始興味深い議論であったが、個人的には「DeFi(分散型金融)においていかに信用を担保するのか?」という論点が特に面白かったので、復習も兼ねて簡単に内容をご紹介しよう。

DeFiとは?分散型金融とは?

そもそも「DeFi」とは何か?

DeFiは、Decentralized Finance の略で、日本語訳すると「分散型金融」という意味だ。

読み方は、「ディーファイ」や「ディフィ」などで個人に委ねられている。Meetup 内では、「ディーファイ:ディフィ=7:3」くらいで利用されていた。

DeFi は、簡単にいうと、「ブロックチェーン、特にスマートコントラクトにより特定の中央管理者を介さずに行われる金融の形式」である。

一般的な企業や国が行う金融は、DeFi に対して「CeFi(Centralized Finance)」とも呼ばれることもあるという。

CeFi に対する DeFi の特徴

CeFi と比較した際の DeFi のメリットとしては以下のような点が挙げられる。

  • 透明性が高い(Code is Law の世界)
  • 中央管理者が取るマージンの削減効果

ただ、一方で、これまで中央管理者が負担していた「リスク」をどのように処理するかという問題が発生する。レンディングの場合でいえば、「貸倒れリスク」だ。

DeFi Lending でいかに信用を担保するのか?

貸倒れリスクに対して、既存の DeFi レンディングのプロダクトでは、どのように対処しているのだろうか?

DeFi の Lending の代表的なプロダクトである MakerDAO、Compound
DeFi の Lending の代表的なプロダクトである MakerDAO、Compound

たとえば、MakerDAO では、ステーブルコインであるDAIの発行のために、ETH(正確には、ETHをラッピングしたPETH)を担保にする必要がある。DAIの発行量は、PETHの66%と決められているため、150%分の担保が必要になる計算だ。

同様に、Compound も、借り入れのためには150%以上の担保が必要となっている。担保価値が下がり150%以上の担保が維持できなくなると、5%安で担保が売りに出される仕組みだ。

このように、既存の DeFi レンディングの代表的なプロダクトでは、暗号通貨を担保にして借り入れを行うケースが多い。

これに対して、「他の担保手段としては何が考えられるだろうか?」という論点が、ミートアップでは議論された。以下では、その内容について簡単に紹介していこう。

信用スコアで担保する

まずは、「信用スコア(クレジットスコア)で担保する」という方法だ。

プロダクトでいうと、BloomCOLENDI が当てはまる。彼らは、様々なデータを利用することでユーザーの信用度をスコアリングし、レンディングの際に参照できるようにすることを目指している。

Bloom と COLENDI

ただ、「様々なデータ」といっても、グローバルで一律の基準で判断できるデータとはどのようなものなのか、またデータソースが Centralized なものになってしまってよいのかといった問題もある。

実際に、COLENDI では、外部データパートナーの開拓にあたり、各国ごとでの対応が必要となっており、「まずはトルコから」リリースすると発表している。ここからどのようにグローバル展開していくのかは、なかなかハードルの高い課題である。

一方で、「グローバルで一律な基準」かつ「Centralized なデータパートナーを利用しない」という条件を満たそうとした場合には、アドレス単位の暗号通貨の取引履歴を利用することになりそうだ。

この場合、カナゴールドさんの指摘のように、「取引履歴を蓄積するコスト」と「借入可能なトークン価値」のバランスをうまく設計してあげることで、貸倒れリスクをコントロールできるのではと考えられる。

また、KYCについては、「取引履歴を蓄積するコスト」にコストを上乗せする立ち位置として捉えることもできる。

ゲームのアイテムや不動産を担保に

議論の中で、新しい発想の面白いアイデアも出てきた。

たとえば、My Crypto Heroes(以下、マイクリ)のような Dapps ゲームのアイテムを担保にすることはできないかというアイデアだ。

マイクリの場合でいえば、自分が保有していても実際には利用しないヒーローやアイテムもあるわけで、それらを担保にすることができたら良いよねというお話。

また、不動産などの現実世界で担保に利用されているものも、その価値のトークン化は進んでいるので、同様に担保にできるのではないかというアイデアもあった。

これについては、MakerDAOも「次の次の次のステップくらいでは検討している」と MakerDAO Japan Lead の Kathleen Chu さんが仰っていた。

このように、自分の保有する資産のトークン化が進み、そのトークンがある程度の信頼性(安定性)を持っている場合には、レンディングにおける信用の担保として利用できるような未来が来るかもしれない。

まとめ

本記事では、19年4月17日に開催された「DeFi Meetup #2 Defi Lending」のミートアップにおける議論をもとに、「DeFiの信用担保のあるべき姿」について考察してきた。

現時点での答えはないが、それだからこそ面白く、これからどのように動いてくのか注目である。

DeFi Meetup はとても有意義な会だったので、また参加させていただきたいと思う。

運営のみなさま、ありがとうございました。そして、カナゴールドさんを始めとする皆さんのキレッキレの思考にしびれました。

DeFi Meetup については、以下のチャネルで情報発信を行っているので、興味のある方はぜひフォローを。