2019年1月15日、Gunosyは第二四半期決算に合わせて、「中長期ビジョン」を公開した。
その「中長期ビジョン」には、これからの10年の世界観、次の10年のためにに必要なこと、そしてそれらを踏まえて具体的に何を実現するのかといった内容が盛り込まれていた。
それは、胸の踊るような未来であり、かつ Gunosy らしく実現性も兼ね備えているものであった。
本記事では、その「中長期ビジョン」の内容について紹介していこう。
これからの10年
Gunosyは自らを「スマホメディア企業ではなく、適切な場所で最適なコンテンツを届ける企業。」と定義している。グノシーやニュースパスに代表されるスマホメディアは1つの形態にすぎないということだ。
これからの10年においては、異なるデバイス間の統合や、オフラインとの連携など、スマホメディアを超えた領域も彼らのスコープに入ってくる。
具体的に、3つの「将来実現したい世界観」を見るとその思想を垣間見ることができる。
まずは、スマートスピーカーという「異なるデバイス」。
スマホという端末に縛られず、様々なデバイスから、その人に合った「情報」が供給される未来。
次に、移動(モビリティ)の領域。
タクシー内広告のパーソナライズは、配車アプリから予約することを前提にすると、実現性がみえてくる。
さらに、個人をID単位で特定することで、その人の信用スコアを参照し、支払いも自動で行うこともできる。
このあたりは、中国のアントフィナンシャルの進める「芝麻信用(ジーマ信用)」の発想に近いし、国内でいえば、Gunosy と同じビルに位置するメルペイが構想していることでもある。
最後に、オフライン購買の領域。
オンラインの購買においては、Amazon に代表されるように最適化は「当たり前」となってきている。これが、オフラインの購買においても「当たり前」化する日はそう遠くないという話。
位置情報や各店舗のアプリケーション、購買データ等を1つのIDで紐付けることによって、実現性がみえてくる。
次の10年のために必要なこと
そんな未来を実現するために何が必要か?
Gunosy曰く、「まず必要なのは、扱う情報の網羅性の拡大。」
先程の3つの具体例でも触れたが、オンラインのスマホのみで個人に最適な情報を届けるのに比べて、オフラインや異なるデバイスにおいて最適な情報を届けようとすると、扱う情報の網羅性を上げていく必要がある。
具体的には、IoTデバイスのデータ然り、第三者企業が保有しているデータ然り。
これらを、生活者(個人)が納得する形で、きちんと理解をしてもらった上で、1つのIDに統合していくことが必要となる。
そのようなデータをどのように取得していくのかというと、大きく分けて、自社の「保有データ」と「外部データ」に分けられる。
興味深いのは、「保有データ」の「これから」の欄に、決済、信用・与信、所有在庫、予定といった新たなデータが記載されていることだ。
Gunosyが今後、決済領域、信用スコアの領域などに踏み込んでいくのか、それとも自社グループとしてどこかの企業を取り込んでいくのか。どのような戦術をとっていくのかは注目だ。
データで何を実現するのか?
そして、これらのデータを集めたことで、具体的にモビリティ及びショッピングの領域において次のようなことができるようになるという。
まず、モビリティにおいては、ユーザーに合わせたコンテンツ(ニュース、音楽)や広告の配信、シェアリングカーにおけるセキュリティの担保。
そして、ショッピングにおいては、オフラインショッピングでも過去の購買履歴を元にしたリコメンド、信用情報を元にした自動決済、冷蔵庫の在庫情報を元にした自動注文。
どれも未来感があり、それでいて実現性もあることから、空想ではなく事業候補として実際に思い描いているものなのだろう。
さいごに
さいごに、Gunosyのミッションに振り返ろう。
「情報を世界中の人に最適に届ける」
このミッションが、スマホメディアの枠を超えて、様々な領域に広がっていくことを想像すると、まだまだ拡大の余地は無限大。
さらに、子会社 LayerX ではブロックチェーンの研究開発を進めており、「情報」との相乗効果も期待できるだろう。
中長期ビジョンの示す未来に向けてどのように歩を進めていくのか、今後も注目していきたい。
関連書籍
Gunosy 創業者で現取締役、LayerX CEO の福島さんの「センスのいらない経営」は、Gunosyの経営理論について学べる良書。

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