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インディア・スタックの利用事例 5つの分類と41のサービス例

インディア・スタックの利用事例

昨日の「インディア・スタック」の基礎編に続いて、本記事では、インディア・スタックの利用事例をご紹介しよう。

実際の利用事例をみることで、より理解が深まるはずだ。

こちらの記事をもとに、以下の5つの分類で紐解いていく。

  • Background Verification
  • Payment/Wallet
  • Digital Lending
  • Tax Compliance
  • Paperless Processing

また、これらに分類に当てはまららないが面白い利用事例もあるので、そちらも合わせて解説していこう。

「インディア・スタックとは?」と疑問をお持ちの方は、まずは以下の記事からご確認いただけるとよいだろう。 www.dappsway.com

Background Verification(身辺認証)

まずは、Background Verification(身辺認証)だ。

基本的には、Aadhaar AUTH と eKYC の API を利用することで、ユーザーの身辺調査、デジタルIDの管理、eKYC、生体認証などの機能として利用をする方法だ。

また、Digital Locker も併用することで、公式ドキュメントの確認を行う場合もある。

Background Verification としてインディアスタックを利用しているスタートアップの一例は以下の通り。

  • Aadhaarとe-KYCのみ
    • AuthBride:ID認証、身辺スクリーニングなど
    • FRS Labs:スムーズなKYCによるオンボーディング
    • BioEnable:生体認証プロダクト製造
    • Evolute:生体認証プロダクト製造
  • Digital Lockerも利用

Payment/Wallet(支払い/ウォレット)

次に、Payment(ペイメント/支払い)領域における利用だ。

この領域では、まず Aadhaar と eKYC によりユーザー認証をしたのち、UPI(Unified Payment Interface)を用いて実際の送金を実現している。

Payment 領域でインディア・スタックを利用しているスタートアップの一例は以下の通り。

  • BHIM:インド政府による送金サービス
  • PayTM:累積調達額2500億円ほどの決済&ECサービス
  • PhonePe:送金/QRコード決済/POSに対応、Flipkartが買収
  • Razorpay:様々な決済を簡単に導入可能に
  • Chillr:電話番号だけで送金を可能に、TrueCallerが買収

BHIMは、インド政府が発表したUPIをベースとしたスマートフォン用決済アプリ。PayTMは、日本でもおなじみの PayPay の技術基盤となっているサービスである。

Digital Lending(デジタル融資)

Digital Lending 領域における利用は、想像がつきやすいだろう。

基本的には、Aadhaar 認証と e-KYC により個人を認証することで、融資を実現している。インドでは、Aadhaar の普及以前には国民識別番号が振られていない国民も多かったが、このように個人認証ができることで、融資の幅が広がった。

また、UPI(Unified Payment Interface)を用いることで、P2Pのレンディングを可能にしているサービスもある。

それぞれ、具体的には、以下のようなサービスがある。

  • Aadhaar 認証と e-KYC を利用している
    • Capital Float:中小事業者向けのレンディング
    • RangDe
    • EzCred
    • Indifi
    • CreditVidya
  • UPIを利用してP2Pレンディングを可能に
    • MicroGraam:P2Pレンディングサービス
    • FlexiLoans:SME向けのレンディング
    • NiraFinance
    • Quikkloan

Tax Compliance(税務コンプライアンス/法令遵守)

Tax Compliance(税務コンプライアンス)領域では、GSTと呼ばれるインドの「物品・サービス税(GST:Goods and Services Tax)」における申請をスムーズにするために主に利用されている。

このような事業の運営は、「GST Suvidha Providers (GSP)」とよばれる登録制の事業者が行っている。「Suvidha」は日本語で「便利」の意味であり、GSTを便利にするサービスの提供事業者という感じだろうか。

具体的には、以下のような事業者がある。

  • GreenGST:GST申請をワンストップで簡単に
  • NaapBooks
  • GST Star
  • UnifiedGST
  • Easy-GST
  • ClearTaxwhich

Paperless Processing(ペーパーレス処理)

Paperless Processing(ペーパーレス処理)の領域では、Aadhaar 認証と eKYC に加えて、電子署名の「eSign」のAPIを利用することで、煩雑な書類を扱う手間を省いてくれるサービスが出てきている。

さらに、Docswallet のように、Digital Locker としての機能(免許証などの公的書類のデジタル保存)を果たすサービスもでてきている。

具体的には、以下のようなサービスだ。

  • Digio:電子署名/eKYC/公的書類署名によりペーパーレス推進
  • FinaHub:電子署名/eKYCのソリューションをFInTech企業へ提供
  • ezeDox
  • TrueCopy
  • Leegality
  • Docswallet

その他の利用方法(保険/クレジットスコア/投資など)

その他の領域のサービスとしては、以下のようなサービスも出てきている。

  • Policybazaar:保険の比較、ユニコーン
  • Bankbazaar:クレジットスコアによる融資
  • TrustID:カスタマーサポート電話の顧客認証
  • Wishfin:ローン、投資、貯蓄など金融領域の意思決定サポート
  • Perfios:支出管理
  • DriveU:シェアバイク
  • Millap:クラウドファンディング

Policibazaar は総額3.46億ドル(約380億円)調達のユニコーン企業、Bankbazaar も総額1.09億ドル(約120億円)を調達しているなど、大型のスタートアップでも利用が進んでいる。

また、シェアバイクの「DriveU」では、自動車の運転免許証のデータを Digital Locker で管理しておくことで、すぐに運転手としての認証を行うことを可能にしている。

クラウドファンディングでは「Millap(ミラープ)」では、クラウドファンディングのプロジェクト発案者を eKYC で認証し、さらに何かプロジェクトにおける証明となるドキュメントがあれば Digital Locker により証明することもできる。

まとめ

本記事では、インド政府によるオープンAPI「インディア・スタック(India Stack)」の利用事例について、5つの分類による解説をしてきた。

具体的な利用事例をみることで、インディア・スタックの利用イメージ、そしてインディア・スタックが広く利用されていることが分かってきただろう。

なぜインドではこのような大規模なIT施策が成功したのか、次回はその成功要因について迫っていきたい。