日本には、主に3つの信用情報機関がある。しかし、その違いは分かりにくくもある。
そこで、本記事では、3つの信用情報機関(JICC、CIC、KSC)について、表形式で違いを分かりやすくまとめてみることにした。
さらに、信用情報機関の間の相互交流ネットワークである「CRIN」と「FINE」についても、合わせて解説している。
ぜひ理解の参考にしてみてほしい。
3つの信用情報機関 JICC、CIC、KSC の違い
JICC、CIC、KSCの違いは以下の通りとなっている。
JICC | CIC | KSC | |
---|---|---|---|
正式名称 | 株式会社日本信用情報機構 | 株式会社シー・アイ・シー | 全国銀行個人信用情報センター |
設立 | 1986年 | 1984年 | 1988年 |
従業員数 | 約160名 | 約180名 | 約280人(全国銀行協会全体) |
会員数 | 1376社(19年2月末時点) | 921社(19年3月20日時点) | 1174社 |
主な会員業態 | 消費者金融と信販会社 | クレジットカード会社と信販会社 | 銀行と銀行系カード会社 |
指定信用情報機関 | ◯ | ◯ | × |
月間照会件数 | 984万回(19年2月) | 1,897万件(19年2月21日〜19年3月20日) | 1076万(17年度末) |
直近の通期収益 | 59.9億円(17年度) | 75.5億円(17年度) | - |
直近の通期利益 | 11.4億円(17年度) | 11.7億円(17年度) | - |
沿革 | 日本情報センター、アイネット、テラネットの3社が合併、全国信用情報センター連合会加盟33情報センターの信用情報事業を承継。 | 日本割賦協会、日本信用情報センター、全国信販協会が合併し、信用情報センター(シー・アイ・シー)が設立。 | 一般社団法人全国銀行協会(JBA)が運営。各地の銀行協会の個人信用情報センターを統合し、現在の形に。 |
信用情報機関同士のデータ交流ネットワーク「CRIN」「FINE」
各信用情報機関では、それぞれの間でデータを共有する相互交流ネットワークがある。
3つの信用情報機関で行われている相互交流ネットワークを「CRIN」、JICCとCICの2つの機関で行われている相互交流ネットワークを「FINE」と呼ぶ。
それぞれ簡単に解説していこう。
CRIN:自主的運用に基づく3機関での情報共有
CRIN は、JICC・CIC・KSCの3つの信用情報機関における相互交流ネットワークである。CRedit Information Network で「CRIN」となる。
CRINでは、全ての情報が共有されているわけではなく、以下の特に重要なデータのみ共有されている。
- 延滞などの情報
- 紛失・盗難・同姓同名の別人に係る本人申告コメント情報など
そのため、消費者視点では、ある1つの信用情報機関のみに加盟している企業に対して延滞をしてしまうと、その情報が全ての信用情報機関内で共有され、その他多くの企業からも参照されるようになってしまう可能性がある。
FINE:貸金業法に基づく2機関での情報共有
一方、FINEは、JICCとCICの2つの信用情報機関における相互交流ネットワークである。Financial Information NEtwork で「FINE」となる。
FINEでは、CRINよりも詳細な情報が共有されている。具体的には、貸付残高や支払いの遅延情報も交換されている。
その背景として、FINEは、2010年6月の貸金業法改正にともなう総量規制に対応するものである。総量規制では、キャッシングやローンなどの貸付を年収の3分の1以内に抑制するように定めている。
消費者記入の小規模な会社では、JICCとCICの片方のみに加盟しているところも多く、総量規制を守るために貸付残高の相互共有が必要というわけだ。
個人情報は信用情報機関に勝手に利用されているのか?
では、信用情報機関は自分たちの情報をどのように取得しているのだろうか?「データを信用情報機関に共有することなんて許可した覚えがない」という方もいるだろう。
しかし、基本的に、消費者金融やクレジットカードの利用規約には、信用情報機関へ提供される旨が記載されている。
たとえば、アコムの利用規約には、以下のような記載がある。
第15条(信用情報機関への登録)
当社は、本規約に基づく契約に関する会員の個人情報(本人を特定するための情報(氏名、生年月日、性別、住所、電話番号、勤務先、勤務先電話番号、運転免許証等の記号番号等)、契約内容に関する情報(契約の種類、契約日、貸付日、契約金額、貸付金額、保証額、商品名およびその数量等、支払回数等)、返済状況に関する情報(入金日、入金予定日、残高金額、年間請求予定額、完済日、延滞、延滞解消等)、および取引事実に関する情報(債権回収、債務整理、保証履行、強制解約、破産申立、債権譲渡等))を、当社が加盟する株式会社日本信用情報機構および株式会社シー・アイ・シー(以下「加盟先機関」という。)に提供します。加盟先機関は、当該個人情報を、その加盟会員および提携する全国銀行個人信用情報センターの加盟会員に提供します。
アコムの場合には、日本信用情報機関(JICC)とシー・アイ・シー(CIC)に提供される旨、及びそれらの信用情報機関から、全国銀行信用情報センター(KSC)に提供される旨まで記載されている。
このように、意識している消費者は少ないかもしれないが、利用規約の中にはしっかりと記載がされている。
まとめ
本記事では、日本の3つの信用情報機関(JICC、CIC、KSC)の違いの比較、CRINとFINEという相互交流ネットワークについて解説をしてきた。
あまり知られていない情報も多いかもしれないが、消費者一人ひとりに関わる内容のため、しっかり理解しておきたいところだ。
また、個人的な感想としては、JICCもCICもきちんと収益及び利益をあげていることに感心した。30年前後の歴史がある両者をディスラプトするようなプレーヤーが出てきても面白いところだ。