日本初の信用スコアサービスとなった「J.Score(Jスコア)」。
2018年時点で唯一、信用スコアによるレンディングを開始し、信用スコア領域において一歩先を行くサービスとなっている。
本記事では、そんな「J.Score(Jスコア)」のサービスの仕組み、利用データ、サービス思想について迫っていきたい。
- J.Score(Jスコア)とは?
- J.Score(Jスコア)の仕組みや利用データは?
- ハビットチェンジでスコアアップも
- J.Scoreは若者の夢や自己実現をサポート
- J.Scoreの信用のプラットフォーム構想
- 情報銀行認定取得へ
- まとめ
J.Score(Jスコア)とは?
J.Score(Jスコア)は、2016年11月にソフトバンクとみずほ銀行による設立された合弁会社だ。
ITに強みを持つソフトバンクと、金融に強みをもつみずほ銀行によるタッグということで注目されている。
2017年の9月に、「AIスコア・レンディング」という信用スコアによる個人向けローンサービスをリリースし、これは日本における信用スコア融資の初の事例となった。
さらに、2018年10月には「AIスコア・リワード」という新サービスもリリースしている。
これは、信用スコア(AIスコア)に応じて、「DIAMOND」「PLATINUM」「GOLD」「SILVER」「BRONZE」「PEWTER」の6つのランクに分けられ、それぞれのランクに応じた特典が外部のパートナーサービスから受けられるというもの。
たとえば、「一休.comのダイヤモンド会員特典」や「ブリヂストンゴルフガーデンTOKYOのゴルフスクールマンツーマンレッスン優待」などのサービスがある。
これは、サービス提供事業者視点でみると、ランクに応じたターゲティングのできるマーケティングと捉えることができる。
J.Score(Jスコア)の仕組みや利用データは?
J.Score(Jスコア)では、どのようなデータを利用してどのように信用をスコアリングしているのだろうか?
基本的な思想としては、様々なデータを収集し、借り入れ希望者の「将来性」をAIで予測することにより、スコアリングをしているという。
従来の貸金業者では、主に「現時点における収入」から信用度を審査して、金利や融資の上限額を決定しているのに対して、このような「将来性の予測」を判断材料として組み込んでいる点がユニークな点である。
実際に利用しているデータは、大きく分けると以下の2種類になる。
- 約150項目の質問に対する回答
- データ連携先から取得したデータ
「約150項目の質問に対する回答」については、「服を買うときには何を最も重視しますか?」や「使っているSNSを全て教えてください。」といった、一見与信の審査には関連のなさそうな項目も並んでいる。
しかし、これらの質問をAIで分析することで、今までは見えてこなかった相関性についてもスコアリングに反映させていくことができるわけだ。
また、「データ連携先から取得したデータ」については、現在以下の企業とデータを連携することができる状態だ。基本的に、資本元であるソフトバンクとみずほ銀行系列のサービスとなっている。
- みずほ銀行
- ソフトバンク
- ワイモバイル(Y! mobile)
- ヤフー(Yahoo! Japan)
みずほ銀行からは、一般的な銀行口座や取引のデータ、ソフトバンクとワイモバイルからは携帯電話の支払履歴データ、ヤフー・ジャパンからはヤフーショッピングやヤフオク!における購買データを利用している。
ハビットチェンジでスコアアップも
また、J.Score(Jスコア)では、「ハビットチェンジ(習慣変化)」によりスコアがアップする仕組みがある。
上図のように、「毎日の運動習慣」、「継続的な学習習慣」、「規則正しい睡眠習慣」、「意識するお金の習慣」の4つの項目で、それぞれ継続的な行動を実行すると、スコアがアップしていく仕組みだ。
これは、「将来性を予測する」という意味合いにおいて、「習慣的に努力を継続できる人は将来性がある」という判断につながるということなのだろう。
筆者の感覚としても、習慣的に努力できる人は、金銭的な意味での将来性は高いと考えられるし、またお金を借りた際にきちんと返済する真面目さも備えているいるように思う。
J.Scoreは若者の夢や自己実現をサポート
J.Score の代表取締役社長CEOの大森隆一郎氏は、J.Scoreの思想について以下のように述べている。
AIスコア・レンディングの特徴は、借入希望者の『将来性』を推計してAIスコアを算出し、融資の可否や条件を提示している点にあります。
たとえば、『若くて、年収が低くて、勤続年数の短い人』は、これまでの審査基準では融資の対象から外れやすかった。
しかし、さまざまな情報や将来の可能性をも含めてAIスコアを算出すれば、融資が可能になるケースがあります。
しかも、従来型の融資サービスとは異なり、若い人ほど将来への期待が大きいと考えて、AIスコアがアップし、レンディングの上限額や金利がよくなるようになっています。
さらに、以下のように続けている。
この仕組みの根底には、若者に対して、夢や自己実現に必要な資金調達をサポートしたいというJ.Scoreの企業理念があります。
たとえば留学したい、資格取得を目指して学校に通いたいと思っていたのに、お金が足りずに諦めたり、お金を貯めるのに時間をかけたりしている若者は大勢いるはずです。
そういう方々に、融資を受けて時間を買う、未来に投資するという選択肢があることに気づいてもらいたいのです。
またAIスコア・レンディングという全く新しいブランドを作ることで、借入はポジティブなものであるというイメージを持ってもらいたいと考えています」
この大森氏の言葉を聞いて、純粋に、J.Score はビジョナリーな企業だと感じた。
「夢のある若者がバイトをしながらなんとかお金を貯めて、、」というストーリーは非常に共感を呼ぶかもしれないが、もしその人の将来性を加味して融資をすることができ、バイトに費やしていた時間を未来への投資に使うことができたら、若者の可能性は大きく広がるだろう。
そういった意味で、J.Score は社会貢献的な企業であるとも言えるかもしれない。
J.Scoreの信用のプラットフォーム構想
さらに、CEOの大森氏は以下のようにも語っている。
信用のプラットフォームとして、世の中のさまざまな場面でAIスコアが利用されて、個人のライフスタイルがより便利に変わっていくことを目指しています
現在、J.Score では、「AIスコア・レンディング」の他に、「AIスコア・リワード」という特典付与のサービスを展開している。
大森氏の発言から予測すると、今後、芝麻信用のような生活シーンへの活用パターンも発表していく計画なのかもしれない。
情報銀行認定取得へ
日経新聞の報道によると、Jスコアは情報銀行認定に乗り出すとのことだ。
情報銀行という形をとることで、Jスコアの信用スコアをより多くの企業に提供するとともに、その対価を利用者に還元していくモデルとなる。
19年度内の取得に向けて動いていくとのことで、今後の動きにも注目だ。
まとめ
本記事では、ソフトバンクとみずほ銀行による合弁会社「J.Score(Jスコア)」による信用スコア「AIスコア」について解説してきた。
AIスコアレンディングのリリースから、19年3月時点ですでに1年半が経過している。2019年はドコモやLINEなどの信用スコア融資サービスもリリースが予定されており、彼らにとって J.Score は1つのベンチマークになるだろう。
J.Score の企業理念にあるとおり、若者の将来性をAIが判断し、融資という手段が未来への投資に利用される世界観になってくることに期待したい。
↓信用スコア全般については以下の記事を! www.dappsway.com