ECサイトや店舗でお支払いをする際に「後払い」のオプションがあったら、あなたは利用するだろうか?
日本では、「GMO後払い」や「NP後払い」がECサイト上では普及してきているため、目にしたことのある人も多いだろう。
世界に目を向けると、日本以上に「後払い」のニーズは強く大きな市場規模となってきている。代表的なところでは、米国の Affirm、そして今回ご紹介するスウェーデン発の Klarna である。
Klarna はスウェーデンからヨーロッパ諸国、そしてアメリカにもその提供先を広げている注目のスタートアップだ。
本記事では、そんな Klarna の会社概要、提供ソリューション、そしてその仕組みについて迫っていこう。
Klarna の会社概要
Klarna は、2005年にスウェーデンのストックホルムで創業された会社だ。
正式名称は、2017年に銀行ライセンスを取得した際に変更され「Klarna Bank」となっている。
ストックホルムは、Skype や Spotify の創業の地としても有名で、数多くのユニコーン企業を生み出しているところだ。
そして、Klarna もユニコーン企業のうちの1つで、これまでに7.74億ドル(約850億円)を調達している。評価額は25億ドル(2750億円)を超えるとも言われている。
名門 Sequoia Capital のほか、Visa や H&M Clothing も投資をしている。Visa については物理カードの発行、H&M Clothing についてはオムニチャネル領域の戦略的パートナーシップが絡んでいる。
Klarna の3つの後払いソリューション
Klarna では、主に後払いソリューションを提供している。そして、あと払いの手法は、大きく分けて3つある。
- 30日以内の後払い
- 金利手数料0
- 3回分割払い
- 30日毎に自動的にチャージされる
- 金利手数料0
- 6〜36ヶ月の分割払い
- 金利は発生
このように、3つの分割払いの手法から選択することができるようになっている。
後払いの上限金額及び可否については、信用情報機関からクレジットヒストリーを参照するほか、年齢や申請の時間などのその他のファクターも見た上で判断している。
物理カードとアプリ対応でオフライン店舗でも
Klarna はオンラインのECにおける後払いソリューションとして始まったが、現在はオフラインへの対応もしている。
オフライン後払いは、以下の2つの方法によって実現されている。
- 物理的なデビットカード
- Apple Pay、Google Pay 対応
物理カードは上図のように非常にスタイリッシュなデザイン。Klarna アプリと連携しており、アプリ上で設定した分割支払い方法で決済を行うことができる。
また、Apple Pay や Google Pay にカードを登録して決済を行うこともできる。
Klarna では、これらの2つの手法により、オフラインの場においても、後払いの決済を実現している。
P2P送金アプリ「Wavy」をリリース
さらに、Klarna は、「Wavy」というP2P送金アプリもリリースしている。
Wavy のユニークな点は、P2P送金に際して、Wavyアプリをインストールするのは「片方」だけでOKということだ。
具体的には、以下のような仕組みだ。
- 取引を行う際に、片方の人がアプリ内でユニークなURLを生成
- 何らかのメッセージングアプリで相手方にURLを送信
- URLをクリックしてウェブページを開く
- 受け手の場合には、Redeem
- 払い手の場合には、クレジットカードなどを登録してお支払い
一般的なP2P送金アプリでは、両者がアプリダウンロードしていることが前提となるため、相手の手間を考えて利用されないこともある。Wavyではその課題を解決しにいっているといえる。
「利用ハードルの低さ」をとるか「囲い込みメリット」をとるか、難しいところだが、面白いアプローチといえるだろう。
まとめ
本記事では、スウェーデン発の後払い提供サービス「Klarna」について解説をしてきた。
後払い領域においては、米国の Affirm、欧州の Klarna、東南アジアの Akulaku あたりが注目どころだろう。
日本でも、クレジットカードを持たない(持てない)層を中心に、後払い決済はまだまだ市場が拡大している。
Affirm や Klarna のような、ユーザーフレンドリーなUXで攻める余地はまだあるかもしれない。