メルカリの売上金をついつい使ってしまう、、。
そんな方も多いのではないだろうか?
「元々はなかったお金だし使っちゃおう!」といった形で、普段スーパーで買い物をするときとは「別の尺度」となり、お財布の紐がゆるくなっているということだろう。
そんな考え方を、行動経済学では「メンタルアカウンティング」と呼んでいる。
本記事では、つい浪費してしまいがちなメルカリ売上金の話を元に、メンタルアカウンティングの考え方について学んでいこう。
メンタルアカウンティングとは何か?
まず、メンタルアカウンティングという概念について簡単に解説していこう。
メンタルアカウンティングとは、「お金に関する意思決定において、総合的に合理的に判断するのではなく、いくつかのフレームの中で各々の基準で判断してしまう傾向にあること」を指す考え方だ。
具体的には、次のような傾向のことをいう。
- 宝くじ→棚ぼた所得→最も浪費しやすい
- 賞与→ボーナス所得→浪費しやすい
- 毎月の給与→労働所得→浪費しにくい
毎月の給与からお支払いをするときは1000円の差でも気にするのに、宝くじで1万円当たったらすぐに使ってしまうといった話には共感する方も多いのではないだろうか。
また、旅行中に浪費しやすいという傾向も、「普段の会計基準」と「旅行中の会計基準」が異なるから生まれるものだ。
このメンタルアカウンティングの考え方は、ノーベル経済学賞も受賞したリチャード・セイラー氏が提唱しており、以下の書籍で解説されている。

- 作者: リチャード・セイラー,Richard H. Thaler,遠藤真美
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2016/07/22
- メディア: 単行本
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メルカリの売上金は給与とは別の「会計」に
このメンタルアカウンティングの考え方を「メルカリの売上金」に当てはめると、「ついつい買ってしまう」という感覚が理解しやすい。
メルカリでの売上金は、いわば「元々なかったお金」であり、きっと「労働所得」の枠組みではなく、宝くじのような「棚ぼた所得」に近い枠組みに分類されるだろう。
そうすると、労働所得では買わなかったようなものでも、メルカリ上では何の抵抗もなくサクッと購入してしまったりするわけだ。
これは、消費者側からすると若干怖い心理的な傾向であり、もしお金を貯めたいという人であれば気をつけたほうがよいだろう。
メルペイがキャッシュレス決済市場で強い理由
メルカリは、19年2月より、オフラインの決済サービスである「メルペイ」をリリースしている。
PayPay や LINE Pay、楽天 Pay などが先行する中、どのような勝ち筋を描いていたのだろうか?
以下のセールスチームの方の発言を見ると、その勝ち筋には、メンタルアカウンティングが関わっていることが分かる。
「まず、他社サービスとの大きな違いは給与所得の奪い合いにならないところです。現行のペイメントは、現金をはじめ、クレジットカード、交通系ICカードなど、基本はユーザーの給与所得がベースとなっていました。それが、メルペイだとメルカリによって不用品を販売して得た"お小遣い"のようなお金をベースに決済サービスが提供できる。金額にして3757億円(*)がプールされているのです」
このように、メルペイには「"お小遣い"のようなお金」がプール(蓄積)されており、それは他社サービスが「給与所得」から支払うのに比べて、大きな優位点であるということだ。
これは、まさに本記事で解説してきたメンタルアカウンティングの考え方だ。
メルペイでは、「"お小遣い"のようなお金」を元に支払いができるため、それはオフライン店舗の場においても、消費の活性化を呼びおこしてくれるかもしれない。
まとめ
本記事では、「メルカリでつい買ってしまう理由」に関連して、メンタルアカウンティングの考え方について、解説をしてきた。
メンタルアカウンティングは、消費者視点では、浪費しすぎないようにうまく自らの消費行動を見直す必要があるし、事業者視点では、うまく利用することでサービスの活性化を促すことができるといった側面を持っている。
生活に関わる考え方として、覚えておくとよいだろう。

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