dataway

パーソナルデータ利活用の未来について考えるメディア

メルカリ/メルペイの信用スコア(クレジットスコア)事業の戦略と勝算は?

メルペイサービス
https://jp.merpay.com/service/
メルカリは、子会社メルペイにおいてクレジットスコア(信用スコア)の事業を推進していくことを明言している。

クレジットスコアといえば、隣国である中国アントフィナンシャルの「芝麻信用(ジーマクレジット)」が有名だが、国内でも、Jスコアやヤフー、ドコモ、LINE等の大手のプレーヤーが名乗りをあげている状況だ。

そんな中、メルカリ/メルペイのクレジットスコアはどのような戦略で、何を強みに戦っていくのか、表向きになっている情報を整理して考察していきたい。

クレジットスコア(信用スコア)とは?

まず、そもそもクレジットスコア(信用スコア)とは何か?

簡単にいうと、クレジットスコアとは「個人の信用度合いを様々なデータからスコアリングしたもの」であり、クレジットスコア事業とは、そのスコアを活用してユーザーに新たなサービス価値を提供していくものだ。

ご存知の方もいるかもしれないが、国内でいうと、以前からクレジットカードの与信等に使われるクレジットスコアは存在している。正確には、クレジットヒストリーと呼ばれており、クレジットカード、ローン、保険などが滞りなく支払いされてきたかどうかで判断がされている。

それに対して、今話題となっているクレジットスコアは、もっとバラエティーに富んだデータから個人の信用を測ろうとしている点で違いがある。具体的に、どのようなデータが使われるのか、先行事例として中国アントフィナンシャルの芝麻信用について見てみよう。

芝麻信用(ジーマクレジット)とは?

https://www.xin.xin/#/detail/4-0-0

芝麻信用とは、アリババの関連会社であるアントフィナンシャルが提供するクレジットスコアである。

アントフィナンシャルは、Alipay(アリペイ)で有名な会社で、アリババグループの金融系事業を束ねる会社で、評価額17兆円にも上る世界最大級の非上場企業(ユニコーン)だ。

そんな芝麻信用は、実際どのようなデータを利用し、どのように活用しているのかというと、以下の通りである。

芝麻信用の主な利用データ

  • Alipay(アリペイ)の支払履歴
  • アリババグループのSNSでの交友関係
  • マイカーや住宅等の資産の保有状況
  • 個人の学歴や職歴

芝麻信用のスコアの主な利用先

  • アントマイクロローンを通じた個人融資
  • レンタルやCtoCサービスでのデポジットが不要になる
  • 特定のスコア以上の人のみが登録できる婚活サイトへの登録が可能になる
  • シンガポールビザが取りやすくなる

このように、利用データは幅広く、さらに利用先については一般的な個人融資のほかに様々なサービスへの応用がなされており、まさに個人の信用を表す指標として機能しているといえる。

メルカリ/メルペイのクレジットスコア戦略

さて、クレジットスコアとその事例として芝麻信用について簡単に触れたところで、本題のメルカリ/メルペイのクレジットスコア事業について見ていこう。

メルカリ現会長の山田進太郎さんは、NewsPicks の特集記事にて以下のように話している。

  • CtoCのビジネスエコシステムを作りたい

  • 我々が目指すエコシステムは、メルカリが持っているデータだとかサービスを外部に開放することで、知見を持ち寄り、大きなイノベーションを起こしていこうという考え方

【独白1万字】山田進太郎「メルカリの野望を全て語ろう」

また、同じく NewsPicks の特集記事にて、メルペイ代表取締役社長の青柳さんは以下のように述べています。

  • そのオープンさを象徴して、メルペイの主要サービスの1つになるのが、個人の信用を数値化するクレジットスコアリングだと思っています。

  • データを自社で閉じて提供できるサービスが限られると、そもそもユーザーは使いたいと思わないでしょう。

  • それぞれが情報を持ち寄って、複合的なサービスを提供できるようにする。そういう世界を目指しています。

【青柳直樹】「メルカリ×金融」で、お金の常識をくつがえそう

これらのことから分かるのは、メルカリはCtoCのビジネスエコシステムを作ろうとしており、基本的には全てを自社グループ内でやるというよりは、自社のデータもオープンにしていき他社と協調してイノベーションを起こしていく姿勢だということ。

そして、その手段として、メルペイのクレジットスコアが位置づけられるということだ。GAFA含め、データは資産という考えから自社グループ内で閉じた利用をする企業が多い中、このようにオープンな発想をお持ちなのはさすがである。オープンを志向しているというより、ユーザー体験を突き詰めていった結果、この結論に至ったのかもしれない。

メルカリクレジットスコアの利用データについて

f:id:show_motto:20181230183031j:plain では、メルカリがクレジットスコア事業をやるとして、どのようなデータを利用していくのだろうか。

明言しているものとしては、メルカリの相互評価のデータ、メルカリの出品データ、メルカリの購買データ、メルペイの決済データ、メルカリファンド各社の利用データとなっている。

国内フリマアプリとして圧倒的な地位を築いているため、メルカリ関連データの価値は非常に大きいだろう。となると、ポイントはやはりメルペイの決済データがどこまで蓄積されるのかという点だ。

ペイメント領域に関しては、LINE Pay、PayPay、Origami Pay に加え、ファミペイなど様々なプレーヤーが莫大な資金を投じて勝負を仕掛けに来ている。そのような中で、メルペイとしてどのような戦略で戦っていくのかは非常に注目しておくべきだろう。

また、芝麻信用がそうであったように、職歴や学歴といったデータはユーザー入力形式で追加で入力させることは十分に考えうる。ここは+アルファで考えておけばよいだろう。

今後の注目ポイント

前章でも記載したとおり、ペイメントのデータがどこまで集まるかには注目だ。クレジットスコアについて競合をみると、ヤフーやJスコア(ソフトバンク+みずほ銀行の合弁)には PayPay(ヤフーとソフトバンクの合弁)があり、ドコモには d払いがあり、LINEにはLINE Payがある。

すなわち、クレジットスコア事業を表明している企業は漏れなくQR決済の領域にも張っており、ここは1つの勝負ポイントとなるわけだ。

ペイメントに関して言えば、メルペイコネクトの服部さんが以下のようにインタビューで語っている。

まず、他社サービスとの大きな違いは給与所得の奪い合いにならないところです。現行のペイメントは、現金をはじめ、クレジットカード、交通系ICカードなど、基本はユーザーの給与所得がベースとなっていました。それが、メルペイだとメルカリによって不用品を販売して得た"お小遣い"のようなお金をベースに決済サービスが提供できる。金額にして3757億円(*)がプールされているのです

https://www.huffingtonpost.jp/ambi/kinyu-sales_a_23620131/

これはまさにメルペイの強みで、メルカリであそこまで売買が活性化しているのも、この"お小遣い"をベースに購買活動が行われていることが挙げられる。この3757億円が他のシーンでも使われてくるとなると、サービス利用の初期ハードルは一気に下がるためユーザーとしても利用しやすくなるだろう。

もちろん、それ以外のデータによる差別化もあるし、メルカリは「CtoC」という切り口でユニーク性もあるため、そこだけでもうまくポジショニングできる可能性もある。

このあたりは、今後どのようになっていくのか、統廃合、新規参入など含めニュースを追っていきたいところだ。

2019年2月13日、メルペイリリース

2019年2月13日、ついにスマホ決済「メルペイ」がリリースされた。

jp.merpay.com

筆者は勝手に「QR決済」の領域に参入するものと捉えていたが、そうではなく、第一弾としては非接触決済サービス「iD」と連携し、アプリを立ち上げずに決済ができる形となった。

これにより、全国90万箇所の「iD」対応店舗にて、今日からすぐに利用開始できるという。現在は、iOSのみの対応だが、今後 Android も対応していく予定だ。

まとめ

本記事では、メルカリ/メルペイのクレジットスコア事業について整理し考察してみた。

自社のデータをオープンにし、CtoCのビジネスエコシステムを作るという山田会長のビジョンには非常に共感することも多く、一人のユーザーとしても良いサービスができていくことを期待したい。

メルカリについてもっと詳しく知りたい方はぜひこちらを。

メルカリ  希代のスタートアップ、野心と焦りと挑戦の5年間

メルカリ 希代のスタートアップ、野心と焦りと挑戦の5年間

また、アントフィナンシャルについてはこちらの書籍を読めば詳しく分かるので気になる方はぜひ。

アント・フィナンシャルの成功法則: アリペイを生み出した巨大ユニコーン企業