2019年2月20日、メルペイの本格始動に向けて「MERPAY CONFERENCE 2019」が実施された。
少しだけ見てみるつもりが、その面白さ、スケールの大きさに惹き込まれ、最後までじっくりと聞き入ってしまう内容であった。日本のキャッシュレス決済、そしてその先の「信用」の創造という大きなミッションが、未だかつてないスピードで実現に向けて動いていることが伝わってきた。
全体を通してさすがという内容であったが、その中でも、特にメルカリ及びメルペイのデータの利活用に関して、学ぶべきものが多かったので、本記事ではその点にフォーカスして整理してみることにする。
↓ちなみに、実際のカンファレンスの様子はこちらから閲覧可能。
- メルペイによるデータ利活用
- メルペイ決済ニーズの高い店舗の特定
- オンラインで購入した商品を簡単にメルカリに出品可能に
- 新商品開発にメルカリの統計データを利用
- 「メルペイあと払い」における信用スコア
- まとめ
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メルペイによるデータ利活用
MERPAY CONFERENCE 2019 では、メルペイのデータ利活用に関して、大きく分けると4つの手法が発表されていた。以下の4つだ。
- メルペイ決済ニーズの高い店舗の特定
- オンラインで購入した商品を簡単にメルカリに出品可能に
- 新商品の開発にメルカリの統計データを利用
- 「メルペイあと払い」における信用スコア
それぞれについて解説していこう。
メルペイ決済ニーズの高い店舗の特定
まずは、メルカリの保有するデータにより、メルペイを導入した場合に本当にメルペイ決済が使われる店舗なのかどうかを分析するというものだ。
店舗側の立場でみると、「QR決済を導入しても本当にそれって使われるの?」という疑問が出るはず。特に、中小の店舗ではそのような疑問が出てくるという。
そこに対して、メルカリのデータを利用すると、エリア×商品カテゴリーで、このエリアではどのような商品を購入する傾向のある人がどれくらい存在しており、さらにその人々のメルペイ残高はどれくらいあるのかといったことが分かる。あるいは、シンプルに属性データ×メルペイ残高で見ることもできる。
これにより、店舗側に「メルペイ決済を導入すれば本当に使われる」ということをデータをもって示すことができるのだ。
メルペイとしては、「加盟店の数だけでなく、真に使ってもらいやすい決済を目指す」とのことで、非常に理にかなったデータに基づいた店舗拡大戦略である。
また、この店舗拡大戦略は、メルペイの収益が決済手数料のみということを考えると、使われる店舗に導入しなければ収益は上がらないため、こちらの観点でも合理的な戦略といえる。
オンラインで購入した商品を簡単にメルカリに出品可能に
メルペイは、今後、オンライン決済でも利用できるようになる。そして、そこで蓄積されたオンラインのメルペイ決済の購入履歴をもとに、簡単にメルカリへの出品をできるようにしていくというわけだ。
これは、「メルカリで売ることを前提として購買行動を取る人」が増えてきていることを考えると、ユーザーの痒いところに手が届くようなサービスといえるだろう。
メルカリ上で「メルペイ購買履歴」を表示するページができ、そこには過去に購入した商品が並んでいるような姿が想像できる。それぞれの商品を販売した場合の参考価格なども載っているとさらに便利かもしれない。
そこから、ワンタップで簡単に出品画面へ遷移することができ、あとは価格などいくつかの入力をするだけで、簡単に出品することができる。という感じになるのだろう。
メルカリとメルペイの相乗効果をうまく活用した連携である。
新商品開発にメルカリの統計データを利用
さらに、メルカリのデータを加盟店へ提供し、商品開発や販促にも活かしていくこともできるようになるという。データを活用することで、よりエリア毎でニーズの高い商品を開発していけるようになるかもしれない。
これについては、中国アリババの世界最大のEコマースサービス「Tmall(天猫)」も同じような取り組みをしており、日本企業でも資生堂などは中国市場に向けた商品開発にその仕組みを利用している。
Tmall の場合には、Tmallの統計データを活用して作られた新商品は、発売から6ヶ月間はTmall内での販売に限定するという縛りを入れているが、メルカリ/メルペイの場合にはどのような座組にしていくのか注目していきたい。
Tmall(天猫)のオープン化については以下の記事で詳しく書いているので、参考にして頂きたい。
「メルペイあと払い」における信用スコア
そして、最後に「メルペイあと払い」の発表だ。
これは、真の意味としては、メルペイによる信用スコアを活用事業の第一弾と捉えることができるだろう。
これまでのメルカリでの取引データを元に、「あと払い」の信用に足るユーザーなのかをスコアリング化し判断を下しているというわけだ。
メルペイでは中国の事例をよく参考にしているといわれるが、「あと払い」についてはアリペイにおける「花唄」と同じような機能であり、便利な機能は着実に実装していっている様子が伺える。
「花唄」の場合には、あと払いの他にリボ払いも選択することができ、これが収益につながっているというが、メルペイはどうしていくのか注目である。
まとめ
本記事では、MERPAY CONFERENCE 2019 の発表内容について、データ利活用領域に絞ってご紹介してきた。
新たな発表が目白押しで、既にここまで進んでいるのかと驚かされると共に、メルペイの強さは、「信用を創造して、なめらかな社会を創る」という大きなミッションを、これだけの急ピッチで現実にしていくことのできる「人材」にあると改めて認識させられた。
メルペイの今後に、1ユーザーとして純粋に期待したい。