インドのモバイル決済最大手の「Paytm」が、アプリ内での信用スコアチェック機能を発表した。
モバイル決済にはじまり、ECモール、保険、資産運用とビジネス領域を拡大している Paytm にとって、これはどのような意味を持つのだろうか?
本記事では、実際に Paytm が信用スコアをもとに行っているサービスをもとに、Paytm の戦略について考えていきたい。
Paytm の会社概要
まず、簡単に Paytm という会社について解説しよう。
Paytm は、2010年に One97 Communications の子会社として設立された会社だ。
Paytm のリリース以降、One97 Communications には巨額の投資が集まっている。アリババグループから総額約1,000億円、ソフトバンクからは約1,500億円を調達し、全体では3,000億円以上となる。
Paytm は、モバイル機器のリチャージ、公共料金の支払いという身近な決済領域からはじまり、現在では様々な生活シーンにおける決済や送金、そしてECモールまで手がけるようになっている。
また、2017年3月に設立された子会社の Paytm Financial Services では、保険や投資などの金融サービスの展開も始めている。
日本では、PayPay が Paytm の技術提供のもと開発されたことでも知られている。
Paytm が信用スコアチェック機能をリリース
前段が長くなってしまったが、そんな Paytm が「無料の信用スコアチェック機能」をリリースした。
Paytmアプリのプロフィール内の「My Credit Score」をタップすると、自分の信用スコアを確認することができるようになっている。アプリ内ではスコアのみが確認可能で、詳細のクレジットレポートについてはE-mailで送信してもらうことができる。
インドでは、4つの信用情報機関があるため、そのうちのいずれかが表示されているようだ。
Paytm では、信用スコアの高い人向けにいくつかのサービス提供を検討しているという。
具体的には、Paytm Postpaid という後払いのオプションを利用できるなどといった特権だ。
Paytm Postpaid は、通常は Paytm 内の取引から後払い可能な上限額が決定(与信)される仕組みだが、そこに新たな指標として信用スコアが利用されるというイメージだ。
Paytm は金融領域拡大へ
Paytm の信用スコアチェック機能は、Paytm が金融サービスの中心になっていく上での戦略的な一手であるとという見方もある。
信用スコアをもとに様々な金融サービスの利便性を改善させられる見込みがあるからだ。
ただ、そうなると、「既存の信用スコアのチェック機能」ではなく、独自の信用スコアリングを行ってもよいのではという考えも出てくる。
18年には独自の信用スコア「Paytm Score」のニュースも
実は、Paytm は、2018年の2月に独自の信用スコア「Paytm Score」を発表したと複数のメディアが報じている1
Paytm への投資元には、中国で芝麻信用を運営するアントフィナンシャルも入っていることから、自社の信用スコアのリリースは納得の動きでもあった。
しかし、それから1年ほど経過したこのタイミングで、既存の信用情報機関の信用スコアをチェックする機能をリリースしたというのはどのような意味を持つのだろうか?
今後独自の信用スコアにリプレイスしていくのか、あるいは他に何らかの戦略があるのか、引き続き注目していきたい。
Paytm の戦略は、日本の決済アプリ各社の未来像でもあるかもしれない。