ワークシェアリングサービスの「タイミー」が、信用スコアを活用した「働く前に給料が振り込まれる」仕組みでビジネスモデル特許を取得した。
シェアリングサービスを行う事業体による信用スコアについては、クラウドワークスやメルカリ(メルペイ)などが参入(を示唆)しており、注目の領域だ。
本記事では、タイミーのサービス概要、タイミーの信用スコア、タイミーの今後の展望について解説していこう。
ワークシェアサービスのタイミーとは?
まず、タイミー(Taimee)のサービス内容について解説していこう。
タイミーは「空き時間に働こう!」をコンセプトにした、仕事のマッチングアプリだ。
一般的なアルバイトでは、面接があってすぐ働けなかったり、給与の振込は翌月になったりと「すぐに働けて、すぐにお金がもらえる」ということはない。
しかし、タイミーでは、面接なしですぐに仕事をすることができ、さらに最短でその日のうちに報酬を得ることができる。
仕事内容としては、上記のキャプチャのように、飲食店のホールスタッフが多く並んでいる。たしかに、店舗からしても、急な空きが出てしまった際などに、スポットで募集をすることができる仕組みはありがたい。
また、「PC設定(キッティング)、出荷作業」といった作業もあり、それぞれの人のスキルやこれまでの経験を活かすことができる一般的な仕事が多いといえそうだ。
また、タイミーを運営する株式会社タイミーは、2019年1月に3億円を調達している。まさにこれから仕掛けていこうというフェーズだ。
投資元は、サイバーエージェント、エン・ジャパン、オリエントコーポレーション(オリコ)、セブン銀行、西武しんきんキャピタルという企業のほか、非公開の上場企業と個人投資家2名となっている。事業会社、人材系、金融系という顔ぶれだ。
タイミーの信用スコアの仕組み
さて、そのようなタイミーは今回、信用スコアを活用した給与前払いの仕組みでビジネスモデル特許を取得した。
信用スコアとは、「各個人の信用度合いを様々なデータを元にスコア化したもの」だ。
近年、データ量の増加、データ分析技術の進歩、シェアリングサービスの台頭などを背景に、大きな注目を集めている。国内でも、ヤフーやLINE、ドコモ等の大手企業が参入を発表しており、これからが期待されている領域である。
信用スコアでは、「どのようなデータを利用して算出するのか」が肝となってくるが、タイミーでは、以下のようなデータを利用するという。
- サービスの利用頻度
- 過去働いた企業からの第三者評価
つまり、タイミー内での利用データ及び評価データが主になるというわけだ。
たしかに、過去のお仕事で企業から高く評価されていれば、その人は次の仕事でもきちんと時間どおりに来て期待通りの仕事をしてくれる可能性が高い。
この可能性をスコア化したものが、タイミーの信用スコアと捉えることができる。
また、投資元として、オリエントコーポレーションやセブン銀行が入っていることにも注目したい。
オリエントコーポレーションは、「LINE Credit」に第三者割当増資をしておりLINEの信用スコア「LINEスコア」にも関わっている。
タイミーの信用スコアの活用先として,現在は「給与の前払い」のみであるが、今後、LINEスコアが取り組む「少額の個人融資」への展開もあるかもしれない。
「タイミーでしっかり働いている人には、金利を下げても大丈夫」といった判断は十分にありうるので、今後の動向に注目していきたい。
タイミーが取得した特許
タイミーの取得した特許についてみてみると、「マッチング支援サーバ、マッチング支援システム、マッチング支援方法およびプログラム」についての特許となっていた。
↑株式会社Recolleは株式会社タイミーの以前の名称
解決手段としては、以下の通り。
【解決手段】求職者および雇用者間でのマッチングを支援するマッチング支援サーバは、求職者が使用する求職者端末から送信された求職者が希望する勤務時間帯を少なくとも含む求職希望を受け付ける求職希望受付部と、求職希望受付部が受け付けた求職希望を、雇用者が使用する雇用者端末に提示する提示部と、提示された求職希望に対して送信された、雇用者端末から求職者へのアプローチを受け付けるアプローチ受付部と、アプローチを、求職者端末を介して求職者に選択させる選択部と、を備える。
主に雇用者と求職者のマッチング部分についてのビジネスモデルの特許であり、信用スコアを活用した給与前払いについての記載は特許外の範囲なのかもしれない。
タイミーの今後の展開
タイミーでは、2019年中に旅行領域への参入を明言している。
旅行先での仕事と旅行者をマッチングさせることで、「0円で旅行に行けるサービス」というコンセプトだ。
これは、特に「時間はあるがお金はない」という大学生にはぴったりのサービスといえるだろう。
また、SMBCコンシューマー・ファイナンスのアンケート1によると、30代・40代でも貯蓄ゼロの人の割合が「23%」ということなので、社会人にとっても重宝されるサービスになるのかもしれない。
タイミーの信用スコアについては、このスコアが、複数サービスにおいて利用されるようになると、そのスコアの影響力がさらに高まり相乗効果を生んできそうだ。
現時点では、もし仕事をドタキャンしてしまったとしても、タイミー内での評価が下がるのみで、その人の生活自体には大きな支障が生じず、信用スコアによる抑止力がそこまで大きくは働かない。
これが、仮に、「タイミーの信用スコアが就活にも影響します」となれば、ほとんどの大学生は、そのスコアを下げないように、ドタキャンをせずに誠意をもって働くようになるだろう。
このように、信用スコアが他のサービスに展開されるようになると、その影響力は増してくるため、スコアとしての信頼性が確立されてくるのではないか、というわけだ。
まとめ
本記事では、ワークシェアリングサービス「タイミー」の信用スコアを活用した給与前払いの仕組みについて、解説をしてきた。
シェアリングサービスにおいて、信用スコアは取引のマッチングを加速させる促進剤となる。今後のタイミーの展開が楽しみだ。
タイミーのアプリを触ってみたい方は、以下のリンクからどうぞ。