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ニューリテールは小売の最終形態なのか?ニューリテールの過去と未来

ニューリテールは小売の最終形態なのか?ニューリテールの過去と未来

昨日、『新・小売革命 中国発ニューリテールとは?』の著者である劉潤氏の特別講演が二子玉川の蔦屋家電にて開催された。

講演の内容としては基本的に本の内容をベースにしたものであったが、Q&Aにて「ニューリテールは小売の最終形態なのか?」という問いに対する回答が面白かったので、こちらでもご紹介しよう。

果たして、今の中国のニューリテールは今後どう変化していくのだろうか?

そもそもニューリテールとは?

ニューリテールとは、「より効率的な小売」であって、「最も効率的な小売」ではない。
ニューリテールとは、「より効率的な小売」であって、「最も効率的な小売」ではない。

「ニューリテールの未来」を考える上で、まずそもそも「ニューリテールとは何か」考える必要がある。

劉氏曰く、ニューリテールは「より効率的な小売」であって、「最も効率的な小売」ではないとのこと。

つまり、効率化が進むという意味では、ニューリテールは今までもこれからもずっと存在していくものであるという。

過去の「ニューリテール」を振り返る

劉氏は、例として、過去の「ニューリテール」の事例について話を展開した。

米国では、19世紀、20世紀それぞれにおいて「ニューリテール」が存在していたというのだ。19世紀ではシアーズ、20世紀ではウォルマートがその流れを牽引していた。

図に表すと以下のようになる。

過去の「ニューリテール」を振り返ると、時代毎のニューリテールがある
過去の「ニューリテール」を振り返ると、時代毎のニューリテールがある

ここで面白いのは、これらの「ニューリテール」は全て、テクノロジーの革新によって生まれてきたということだ。

シアーズの場合には、カタログ通販の発明で有名だが、それが成立するためには鉄道による輸送が必要であった。

ウォルマートの場合には、自動車と道路の発達により郊外へのショッピングが可能になり、さらに冷蔵庫の普及により大量購入で家に保存しておくことが可能になったというテクノロジー革新に乗じて、郊外の安い土地に巨大なショッピングセンターを作るモデルで成功を収めた。

そして、今、21世紀ではインターネット革新により、Amazon Go や 盒馬鮮生(フーマフレッシュ)といった新たな小売の形態が出てきている。

このように、歴史を振り返ると、「ニューリテール」は、それぞれの時代において存在しており、その背景にはテクノロジー革新があったということが分かってくる。

これからの「ニューリテール」はどうなるのか?

そう考えると、これからの「ニューリテール」はどうなっていくのだろうか?

劉氏の考えでは、これからも、テクノロジーの発展と共に「さらに高効率な小売」が生まれていくはずであるという。

たとえば、3Dプリンターの登場により、物流に変革が起き、新たな「ニューリテール」が生まれる未来が想像できる
たとえば、3Dプリンターの登場により、物流に変革が起き、新たな「ニューリテール」が生まれる未来が想像できる

その具体例として、たとえば、3Dプリンターの普及がある。3Dプリンターが各家庭に一台常備されるようになれば、物流に大きな変革が生じ、そこに新たな小売の形(ニューリテール)が生まれてくるはずだというわけだ。

それ以外にも、ロボット、自動運転車、AR/VR/MRなど、その可能性はまだまだある。

ガートナー発表の先進テクノロジーのハイプ・サイクル
ガートナー発表の先進テクノロジーのハイプ・サイクル

ガートナーが発表している先進テクノロジーのハイプ・サイクルなどを眺めつつ、今後のテクノロジーの発展とそれに伴う小売の発展について考えてみても面白いだろう。

まとめ

本記事では、『新・小売革命 中国発ニューリテールとは?』の著者である劉潤氏の特別講演の内容をもとに、「ニューリテールは小売の最終形態なのか?」というテーマについてまとめてきた。

結論、小売は今後も変化し続けるし、インターネットがオフラインの世界へも入っていこうというこれからの時代、さらに様々な動きが出てくるだろう。

中国の最新の動きに学びつつ、日本ではどのようなことができるのか、考えていきたいところだ。