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ヤフーの信用スコア(クレジットスコア)の仕組みと戦略

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ヤフーもついに信用スコア(クレジットスコア)事業への参入を発表した。

日本国内の信用スコア領域は、ソフトバンク、ヤフー、LINE、メルカリ、ドコモと日本を代表するプレーヤーが続々と参入あるいは参入を表明し、これから大きく動いていきそうだ。

本記事では、ヤフーの信用スコア(クレジットスコア)における情報整理とそれを元にその勝算について考察していきたい。

「信用スコア」について詳しく知りたい方は「信用スコアとは?信用スコアの仕組みやメリット、利用データについて」をご覧ください。

ヤフーの信用スコア(クレジットスコア)の概要

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https://about.yahoo.co.jp/pr/release/2018/10/10a/

2018年10月10日、ヤフーは独自のスコアを活用したユーザーへの便益創出及び企業の課題解決を図る実証実験を開始すると発表した。

about.yahoo.co.jp

基本的には、Yahoo! Japan ID に紐づくユーザーデータを元に機械的にスコアを算出し、そのスコアをパートナー企業に提供していくという形だ。

2018年内の本格開始を予定しているとのことで、10月のリリースとしては非常に急ピッチで実証実験を進めていることが分かる。

利用するデータは?

さて、ヤフーの信用スコアでは、実際にどのようなデータが使われるのだろうか?

ここについては、明言はされていないため保有データからの想像とはなるが、基本的には以下のようなデータを使っていくと予想できる。

  • 購買/決済/資産データ
    • ヤフーショッピング及びヤフオクの購買データ
    • YJカードの決済データ/支払い履歴
    • ワイモバイル/ソフトバンクの毎月の支払い履歴
    • ジャパンネット銀行(ヤフージャパン46.57%資本)の資産データ
    • PayPay による決済データ
  • ヤフー関連サービス利用データ
    • ヤフー路線情報やヤフー地図による移動・位置データ
    • ホテルや飲食店の利用履歴
    • TRILL/kurashiru/GYAO!のようなメディア閲覧履歴

こうしてみると、ヤフー系列のデータを集めるだけで、資産関連データについてはかなり充実していることがわかる。ショッピング系から、クレジットカード及びQRによる決済、銀行口座、携帯電話の支払履歴と、これらを統合分析するだけでも有力なデータとなりそうだ。

さらに、ヤフーの強みとしては、様々なC向けサービスを展開している点もあげられる。そこから得られる情報としては、その人がサービス利用において信用できるのかという指標だ。

資産関連データからはその人が金銭的に信用できるのかという指標がわかり、サービス利用履歴からはその人がサービス利用にといて信用できるのかという指標がわかる。

両者は、共通する部分もあれば異なる部分もあり、双方のデータがそろうと「信用スコア」としてより盤石といえよう。

信用スコアの利用先は?

それでは、上述したようなデータを用いて算出したスコアを、どのように利用するのだろうか?

スコアの提供先としては、2018年10月10日時点で以下のようになっている。

<実証実験に参画する企業・団体一覧>※五十音順 ※2018年10月10日現在

  • アスクル株式会社

  • 株式会社イーブックイニシアティブジャパン

  • 株式会社一休

  • OpenStreet株式会社(HELLO CYCLING)

  • 株式会社カービュー

  • 株式会社ガイアックス

  • コスモ石油マーケティング株式会社

  • 一般社団法人シェアリングエコノミー協会

  • ソフトバンク株式会社(BLUU Smart Parking)

  • 株式会社TableCheck

  • パスレボ株式会社

  • バリューコマース株式会社

  • 福岡ソフトバンクホークス株式会社

まず目立つのが、約260社が加盟するという一般社団法人シェアリングエコノミー協会を筆頭に、ソフトバンク株式会社(BLUU Smart Parking)やOpenStreet株式会社(HELLO CYCLING)、ガイアックス(TABICA、notteco等)といったシェアリング系サービスだ。

シェアリングサービスにおいては、個々人の「信用」がサービスにおいて重要度が高く、信用スコアのニーズが高いことも納得だ。

また、次に、ホテル予約の株式会社一休、レストラン予約の株式会社TableCheck、音楽ライブなどのチケット予約のパスレボ株式会社、おそらくプロ野球観戦チケット予約の福岡ソフトバンクホークス株式会社と、予約系サービスが目立っている。

これらについても、きちんと予約通りに毎回参加してくれる生活者(このようなユーザーは信用スコアが高くなるはず)に対して、優遇サービスを提供するなどの価値提供が考えられるだろう。

実際に、プレスリリースの中でも、以下のように、シェアリングサービスの領域において手続きの簡略化や保証金の免除、予約領域においてスコアに応じた先行予約特典の付与について触れられている。

たとえば、シェアリングサービス領域においては、スコアを活用し申し込み時の手続きの簡略化や保証金の免除をはじめ、安心してモノの売買や貸し借りができる環境の構築が期待できます。また予約領域では、スコアに応じて先行的に予約できる特典の付与などが考えられます。

勝算ポイントは?

クレジットスコア領域に参入を表明している企業の中で、最も幅広いデータを保有しているのがヤフーといえそうだ。

スコアの活用先としては、シェアリングサービス、予約系サービスを主に考えているため、シェアリングサービスの領域では特にメルカリ/メルペイと競合することになるだろう。ここについては、PayPay vs メルペイという構図と共に注目していきたい。

また、ソフトバンク×みずほ銀行によるJスコアとの棲み分けについても気になるところだ。親会社であるソフトバンクが手がけるJスコアは既にサービスインしており、信用スコアに応じた個人融資やリワード付与を行っている。

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これは想像だが、「個人融資についてはJスコア」、「シェアリングや予約といったサービス系についてはヤフーの信用スコア」が担っていくという位置づけなのかもしれない。

今後、参入が決まると競合となってきそうな企業としては、ショッピング領域でも競合である楽天もあげられるだろう。

楽天については、C向けサービスはもちろんのこと、 FinTech 領域で近年大きく収益を伸ばしており、その幅広いデータを活用したクレジットスコアの価値の高さは言うまでもない。

今後の動向にも注目していきたい。

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信用スコア全般については、以下の記事に2万字超で網羅的にまとめている。 www.dappsway.com

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